西武影のMVP 山賊打線を編成した鉄道マンと阪神・金本監督 (2/2ページ)

週刊実話

一定の期間を勤め上げて元の職場に帰っていくのだが、最近の球団を仕切っているのは、鉄道マンだ。

「どちらが優れているという話ではありませんが、時間厳守の鉄道マンは中期規模でのビジネス計画を立てるのが巧く、コンプライアンスにも厳しい」(関係者)

 鉄道マンたちのドラフト戦略は、中期目標による先物取引でもあるようだ。

「菊池雄星のようなその年のドラフトの目玉を指名するときもあれば、高橋光成の一本釣りに成功した年もありました。高橋のときは事前に1位指名を表明しました。入札抽選の今のドラフト制度において、他球団との重複を嫌うチームは少なくありません。他球団を動揺させる作戦です」(同)

 先物取引でのいい例が、4番の山川を見れば分かる。「巨漢で守備難」となれば、普通の球団は指名を避ける。だが、西武は「入団後にもう一度育て直す」計画を立てる。「2、3年後に主力になれば」との発想だ。

「大学、社会人、下位指名の高校生だと、他球団は『もうしばらく様子を見てから』と敬遠します。高校、大学生なら次のステージでの活躍を見てから判断するわけですが、西武は『次のステージで活躍したら指名できないかも』と捉えるんです」(同)

 シニアディレクター兼編成部長となった渡辺久信元監督も、自ら地方に足を運んでいる。
「特にありがとうと言いたいのが、阪神の金本監督。まさか本当に、榎田大樹をくれるとは思わなかった」(前出・スポーツ紙記者)

 西武にとって唯一の弱点は左投手のコマ不足だった。先発では菊池ただ1人。「計画の立つ左腕を」と頭を悩ませていた序盤戦、金本阪神から「岡本洋介をくれ」とトレードが持ち込まれた。ダメモトで榎田を交換要員に希望したら“快諾”してくれたのだ。

「榎田は金本監督が就任した直後の'15年秋季キャンプで肉離れを起こし、その時点で『戦力外』と決め付けられてしまったんです。環境を変えてやれば大化けすると、どの球団もトレードを狙っていたのですが」(前出・関係者)

 今季の榎田は先発ローテーション入りし、2ケタ勝利を上げてみせた(10勝4敗)。交流戦での直接対決でも勝利している。「こっちが自滅したようなもの!」と金本監督はトラ打線の拙攻を口にしたが、西武関係者は裏でガッツポーズをしていたという。

 選手の適正を見極め、長い目で選手を育てる。鉄道ダイヤのようなチーム編成が、黄金期とは異なる獅子軍団を作り上げたのである。

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