知られざるニッポン秘薬・伝統薬めぐり(1)コレラから日本を救った (2/2ページ)

アサ芸プラス

原料にもこだわり、作る工程にもこだわり、できるかぎり昔のままの“一粒丸”を残したい。その一心で頑張っています」

 チョウジ、ケイヒ、オウバク、アセンヤク、ヨウバイヒなど13種の生薬から成る一粒丸。手間もコストもかかる伝統薬だが、遠方からも客が訪れる。

「一粒丸を求めに来られて、ついでにお寺に参るという方もいます。また、『テレビを見て』『インターネットで知って』『使った人に聞いて』という海外の方も増えていますね。フランスやドイツなどのヨーロッパの方や東南アジアの方が多い。台湾や香港のお金に余裕がある方も、いいものだとわかって求めに来られて、長く使っていただいています」(三橋氏)

 歴史ある日本の伝統薬は、海外にも広まりつつある。

 その足で向かったのは東京・上野。池之端にある「守田治兵衛商店」の創業は延宝8年(1680)というから、徳川綱吉が第五代将軍になった年だ。

 創業者の初代守田治兵衛は摂津国(現大阪府)から江戸に出てきて薬業を始め、以来、現在の十三代目まで続く江戸最古の薬舗。ここで販売されるのが「宝丹」だ。

 効能に「胃もたれ、はきけ、胸やけ、飲みすぎ、食べすぎ、嘔吐」とあるが、この薬が誕生したのは日本中で「コロリ」(コレラ)が流行し、多くの死者を出した文久年間(1861~1864)。オランダ医師の方剤にヒントを得て作られると、その予防・応急処置に大きな効果を発揮した。明治3年(1870)にそれまで自由に販売できていた売薬が許可制になった際、「宝丹」はその官許売薬第1号になったのだ。

「知られざるニッポン秘薬・伝統薬めぐり(1)コレラから日本を救った」のページです。デイリーニュースオンラインは、一粒丸週刊アサヒ芸能 2018年 10/18号胃腸薬コレラカルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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