NZ代表のボーデン・バレットが、ブレディスロー杯で一番嬉しかったシーン。

ラグビーリパブリック

 世界ランク1位のニュージーランド代表オールブラックスで、おもに正司令塔を託されるのはボーデン・バレットだ。身長187センチ、体重91キロの27歳。鋭い仕掛け、パス、キックを的確に使い分け、昨年、一昨年は世界最優秀選手に輝いている。

 10月27日、神奈川・日産スタジアム。オーストラリア代表ワラビーズとの伝統のバトル、ブレディスローカップの第3戦でも背番号10をつけた。

 後半初頭に見事なトライセーブタックルを繰り出したこの人は、まもなく敵陣10メートル線付近の右タッチライン際で光る。

 味方FBのダミアン・マッケンジーが放ったグラバーキックを捕球し、追いすがる相手をかわす。さらに前方にドリブルを繰り出し、敵陣深い位置へ侵入した。そのボールを確保したワラビーズはたまらず蹴り返すも、オールブラックスは直後の攻撃中に相手の反則を誘う。後半13分、20-13とスコアを広げた。

 続く19分。バレットがこの日最も満足できたであろうシーンが誕生する。

 自陣10メートル線付近左のスクラムから右への展開時、最初にボールを受け取ったバレットは左端のリーコ・イオアネにパス。イオアネがぐんぐん前進する間、バレットは左タッチライン間際へ向かって斜め前方に駆け出す。ここで大回りしすぎないのがよかった。

 ちょうどイオアネが2人のタックラーを引き付けたところを、左斜め後ろからサポート。ラストパスをもらう。あとはトライラインまで一直線だった。

 直後のコンバージョンも自ら決め、27-13と勝負を決定づけた。ここでは事前のイメージ通りに動けたことが、何より嬉しかったという。37-20で勝利し、晴れやかな表情で語った。

「セットプレー、特にスクラムからのトライができたことはよかった。本当に計画通りにできたので。オーストラリア代表戦向けに用意したものもありました。試合前にコーチと『こういう状況の時はこれをしよう』という話をしていた」

 この日の会場では、来年のワールドカップ日本大会の決勝もおこなわれる。同大会3連覇を狙うバレットは、「雰囲気を味わうのもいい経験でした」とも話す。

「スタジアムに慣れるという意味でもよかったと思います。オールブラックスの選手として日本に来るのはすごく嬉しいことでした。日本の皆さんにはすごくサポートしていただけた。リスペクトもしてくれた。来年に向け、わくわくしています」

 オールブラックスは11月3日、東京・味の素スタジアムで日本代表と対戦する。もっとも10月27日に戦ったレギュラークラスは、まもなく同時期に組まれたイングランド遠征へ出かける見通しだ。

 日産スタジアムに集まった46,143人のファンは、2018年に日本でバレットのパフォーマンスを観られた数少ない人たちだった。

(文:向 風見也)
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