舞台は冬から夏へ。元ボブスレー日本代表、押切麻李亜が楕円球に生きる。

ラグビーリパブリック

11月5日で24歳。姉・美沙紀さんは平昌五輪にスピードスケート代表として出場した。(撮影/松本かおり)

 たくましい大腿部にはパワーが詰まっている。

 世界選手権で7位になったことがあるアスリート。押切麻李亜(おしきり・まりあ)はボブスレーの元日本代表選手だった。

 10月29日から弘前(青森)で始まった女子SDS(セブンズ・デベロップメント・スコッド)の合宿に同選手が参加している。SDSへの参加は、8月の熊谷合宿以来2度目のことだ。

 今年2月の平昌五輪出場を逃して新たな可能性を探った。

 以前から縁のあった北海道バーバリアンズ関係者のサポートもあり、秘めた才能をラグビーで活かす方向性に舵を切った。今春にはNZ、ハミルトンにて1か月留学。楕円球で世界を目指す生活が始まった。

 小学生時代からスピードスケートに打ち込み、中学時代に陸上に転向。帯広南商高に進学してからはボブスレーにも取り組んだ(陸上の短距離と両立)。

 高校卒業後は氷上のF1と言われるその競技(2人乗り)に打ち込み、世界選手権で7位となったのは昨年のことだ。

 力感にあふれる。ラグビー経験が豊富な選手たちにも、そこでは負けない。

 女子2人乗りのボブスレーは、先頭のパイロット、後方のブレーカーのふたりでおこなう。押切はパイロットとして活躍。重いソリに勢いをつけ、ハンドル操作をおこなう役を務めてきた。

「パワーはある方だと思っています。そこをラグビーでも活かしていきたい」

 首脳陣も「体幹がしっかりしているから、なかなか倒れない」と見る。

 太陽生命ウィメンズセブンズシリーズには、北海道バーバリアンズディアナの一員として鈴鹿大会でデビューした。試合途中からの出場が多く、活躍の場は密集まわりが多かった。本人も、「もっと幅広く動けるようにならないといけない」と自覚する。

 伸ばすべきところは山積みも、このスポーツが気に入っている。

「大人数でやるスポーツは初めてです。自分がダメだったとしても、他の人がカバーしてくれたり、チームとしてみんなでやれたことが、自分の自信になっていくところがおもしろい。みんなのおかげで(ラグビーを)楽しめています」

 弘前合宿ではトップコーチたちの指導を受け、細かなプレーに取り組んだ。

 コミュニケーションの取り方。後方からの指示を受けてのバックフリップパス。これまであまり取り組んでこなかった領域も学び、何度もトライ&エラー。一歩ずつ前進する。

「レベルの高い選手たちに囲まれて、自分の足りないところがよく分かる。勉強になります」

 持ち前のパワーをどこで、どう使うか。それをおぼえると同時に、フットボーラーとしての力もつけたい。

 冬季五輪出場を逃した173センチ、74キロは、2年後の夏を目指して助走し始めた。

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