死は恐ろしいが死が永遠に訪れないことも恐ろしい。死が教える生の尊さ。 (1/3ページ)

心に残る家族葬

死は恐ろしいが死が永遠に訪れないことも恐ろしい。死が教える生の尊さ。

不死は人間の絶えない願いである。地上に手に入るすべてを手にいれた権力者が最後に求めたのが「永遠の命」であった。秦の始皇帝が不老不死の秘薬を求めて派遣したのは有名な話である。死は恐ろしい。死んだことがないのだから恐ろしいのは当然である。死が怖くないという人間は死をリアルに感じたことがないのだろう。だが、死なないこと=不死とは本当に幸せなのだろうか。

■不老不死を夢見た人々

不死をめぐり人間は様々な方法を考案してきた。卑金属を金に変える西洋の「錬金術」の最終的な目的は不老不死だったという。錬金術では「賢者の石」という霊薬の生成が求められた。これは卑金属を金に変えるだけではなく、服用することで不老不死にもなれるとされた。

中国でも不老不死の霊薬を生成する「煉丹術」が存在したが、それ以上に「仙道」という天地に満ちるいわゆる「気」を身体に取り込み、不老不死の仙人になることを目的とする神秘的身体技法が発達した。これは後の「気功」の源流である。洋の東西を問わず、人間は不老不死への見果てぬ夢を追っていた。

■現代の不老不死術

現代の不老不死術と言えるのが「人体冷凍保存」(クライオニクス)である。不治の病で亡くなった人体を冷凍保存し、未来に医療技術が発展することを期待して、蘇生が可能になったころに解凍・治療しようという考え方だ。SFでおなじみの「コールドスリープ」(冷凍睡眠)とは異なり、あくまで死亡が確認されたあとの処置だが、アメリカにはこれを扱う会社があり死後の冷凍保存を希望する人たちの予約で埋まっているという。不治の病を患い、自身の死を受け入れられない人たちが、未来の医学の力で復活することを期待して長い眠りにつく。


■具体的にはどんな不老不死の技術が研究されているか

肝心の冷凍技術だが、冷凍保存の時点で既に細胞が破壊されており、蘇生は不可能であるとの指摘がされている。少なくとも現段階で冷凍技術による「患者」は、現代医学の定義では明確な「遺体」であるとされる。そこからの復元・蘇生も含めて未来の技術に丸投げというわけだ。それでも死を拒否する人たちは一縷の望みを遠い遠い未来に託している。

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