【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第32話 (1/8ページ)
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【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第31話 文政九年 桜の三月東都名所新吉原五丁町弥生花盛全図
文政九年、三月一日。
仲之町に、つい三日前まではなかった桜が今年も植えられた。
二代歌川広重「東都名所 吉原中之町」ボストン美術館蔵
みつはこの日初めて、国芳と桜を見た。
国芳の方から花見に誘ったのである。
みつの歩く一歩前に、国芳の広い背中が在る。
どんな絵師よりもきっと鮮やかな絵を描く国芳の目に、この桜はどう映えるのだろう。
そんな事を思いながらぽつぽつと後ろを歩いた。