秋津壽男“どっち?”の健康学「ノドに負担をかけることで高まるガンのリスク。喉頭ガンや咽頭ガンなどは複数発症の可能性大」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「ノドに負担をかけることで高まるガンのリスク。喉頭ガンや咽頭ガンなどは複数発症の可能性大」

 カラオケ好きの読者も多いと思います。ふだんは声を出さない人が練習もせずに歌いすぎると声がかれることがありますが、ここで問題です。歌いすぎで声がかれるのと酒焼けするのとでは、どちらがノドに悪影響を及ぼすでしょうか。

 カラオケの歌いすぎやコンサートで大声を出して声がかれるのは、声帯が炎症を起こしている状態です。病名としては、急性声帯炎と呼ばれています。誰しも経験しているかと思います。来院する競馬好きの患者さんが、たまに声がかれていたりするので「当たりましたね?」と尋ねると、うれしそうな顔をします。実際、翌日に炎症は治まり、声も元どおりになっているそうです。このように、休息をとり、吸入やうがいによる加湿を行えばすぐに治ります。

 対して酒焼けとは、声帯ではなくノドの炎症で、病名は急性咽頭炎と呼ばれています。その原因は、アルコール分解のために必要な水分が奪われ、ノドが乾燥して炎症を起こしたこと。また、アルコールが直接ノドの粘膜を傷つける場合もあります。さらに、酔ってハイの状態になり、いつもよりしゃべりすぎて声が出なくなることもあるでしょう。

 実は、タバコも酒焼けを悪化させる要因です。タバコを吸うとノドが乾燥しますが、そんな状態で酒を飲みながら声を出すので、声が出にくくなるのです。ましてや、お酒を飲むと喫煙ペースも早くなります。タバコと酒という二大要因が加わる分、酒焼けのほうが非健康的と言えるでしょう。

 とはいえ、急性咽頭炎も3日もすれば元に戻ります。怖いのは、これが慢性化することです。例えば、スナックのママさんは客に勧められた酒を飲み、タバコを吸うので声がかれやすい職業と言えます。特にウイスキーやテキーラなどアルコール度数の高い酒を飲むほどノドを傷めやすく、ハスキーな声になります。食道ガンや喉頭ガン、咽頭ガンになる可能性も高くなります。

 アルコールは、分解される際に発ガン性のあるアセトアルデヒドに変わります。これにより、食道ガンや喉頭ガン、咽頭ガンの発ガンリスクを高めます。また、これらの器官に発生するガンは、一人に複数発生するケースも多く見られます。酒とタバコのダブルパンチで多発ガンの危険性をさらに高めているのです。

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