稀勢の里が初場所復活を遂げる年末年始「猛稽古」裏 (2/3ページ)

週刊実話



 しかし、あまりにも状況は悪すぎる。先場所、休場の一因になった右ひざのけががなかなか完治せず、ついに12月の冬巡業は全休したのだ。
「これが痛かった。先場所の相撲を見ても分かるように、今の稀勢の里に一番欠けているのは自信なんです。どうしたら勝てるのか、まるで分からないまま、こわごわ相撲を取っていましたから。その自信をつけるのは、巡業先でいろんな力士と真っ黒になって稽古するしかないんだけど、それをすべて休んでしまいましたからね。どうやって自信を回復させるのか。自分でもどうしていいか、分からないでいるんじゃないですか」

 一門のある親方は、そう言ってクビをひねった。この出遅れや、稽古不足を取り戻すために、稀勢の里が行ったのは正月返上の猛稽古だった。

 年中大忙しの相撲部屋も年末年始だけは稽古を休み、力士たちは短い正月気分を味わう。稀勢の里と同じように先場所は右ひざの故障などで休場し、厳しい局面に直面している横綱白鵬も、暮れの29日から恒例の一家打ち揃っての家族旅行へと出発している。

 「初、春場所で平成も終わりだから、しっかり締めくくらないと」

 そう語る白鵬が稽古を再開したのは、年明けの4日だった。これに対して稀勢の里が所属する田子ノ浦部屋の稽古納めは12月30日。正月休みはたった2日だけで、正月明けの2日には、いち早く稽古場に降りて汗を流している。

 その大晦日も、元旦も、
「体がなまらないようにしないと」
 と、稀勢の里はこっそり体を動かし続けていた。白鵬とは対照的な正月のすごし方だった。

 3日には、暮れから続けている大関高安との3番稽古(同じ相手と繰り返し行う稽古のこと)も再開。4日には、その数が計83番に及んだ。いかに稀勢の里が復活に死に物狂いかを物語る番数だ。

 ただ、この数字を鵜呑みにするのは早計だ。というのも、なかなかいい結果が出なかったこれまでも、稽古相手はもっぱら高安だったからだ。八角理事長も警鐘を鳴らしている。

 「稽古相手が(手の内を知り尽くしている弟弟子の)高安1人だけ、というのはちょっと心配。それだけほかの相手とやる自信がないのかな。
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