魚も人間と同じように仲間の顔を見分けることができる(日本研究)

カラパイア

魚も人間と同じように仲間の顔を見分けることができる(日本研究)
魚も人間と同じように仲間の顔を見分けることができる(日本研究)


 顔は個人個人を区別するうえで一番重要になる部分だ。もし誰かに出会ったとき、その相手が知り合いかどうか判断するために、まず何よりも顔を見つめることだろう。

 人は誰かの顔を見分ける時、個々のパーツの形を覚えて見分けるのではなく、全体を見て覚え、誰が誰かを認識する。

 そしてどうやら、魚の中にも人間と同様の方法で、相手の顔を見てお互いを認識できる種がいることがわかってきたようだ。

・逆さまにしてしまうと誰だか分からなくなる不思議

 実は人間はその重要な顔を個々のパーツの形を覚えて見分けるのではなく、全体として見て覚えている。

 このために、顔を上下逆さまにしてしまうと、普段見慣れているはずの顔なのに途端に見分けにくくなってしまう。

 人間以外の哺乳類も上下が普通の状態の顔からお互いを区別しており、顔を逆さまにしてしまうと認識にしばらく時間がかかるようになる。

 この効果は「顔認識の倒立効果(face inversion effect)」と呼ばれるもので、顔の認識が特定のやり方で行われている証拠とされている。

iStock-875518498_e


・魚も相手の顔を見てお互いを認識する

 こうした能力は哺乳以外では滅多に観察されないが、どうやら魚の中にも相手の顔を見てお互いを区別できる種がいるらしいことが最近になって判明した。

 たとえば社会性を持つシクリッドの仲間(Neolamprologus pulcher)は、仲間を認識するのに、体のパーツや模様ではなく、顔を見てぱっと判断している。

 そこで大阪市立大学の幸田正典教授らは、シクリッドに仲間の顔の写真を見せて、倒立効果があるかどうか確かめてみることにした。

 その結果、正しい向きにした写真の場合、よく見知った顔よりも見知らぬ顔の写真の方をじっと見つめることが分かった。

 また一方で、写真を逆さまにして見せた場合は、そのような傾向は観察されなかった。

 このことからシクリッドには倒立効果が起きていると推測することができる。つまりシクリッドは人間のように、仲間の顔をパーツではなく全体的に認識しているらしいということだ。


シクリッドの仲間(Neolamprologus pulcher)

・顔を認識する神経が4億年前にすでにあった可能性

 幸田教授によると、シクリッドはわずか0.4秒という素早さで相手の顔を認識していると考えられるという。

 ここからシクリッドが相手の顔を認識する際に「顔神経」を使っているらしいことが窺える。

 この顔神経は人間も使っているものだが、人間と魚の両者にそれがあることから、その起源はじつは4億年前に生息していた魚類にすでに現れていたとも推測できるそうだ。

 この研究論文は『Animal Cognition』に掲載された。

References:Does a cichlid fish process face holistically? Evidence of the face inversion effect. - PubMed - NCBI/ written by hiroching / edited by parumo
「魚も人間と同じように仲間の顔を見分けることができる(日本研究)」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧