童謡「お内裏様〜とお雛様~♪」実はお内裏様と呼ぶのは間違い? お雛様の”雛”って何? (3/3ページ)

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右大臣じゃない?男雛女雛のボディーガード、随身

『装束着用之図』(国立国会図書館蔵より)

〈歌詞三番を抜粋〉
金のびょうぶに うつる灯(ひ)を
かすかにゆする 春の風
すこし白酒 めされたか
あかいお顔の 右大臣

歌詞では右大臣と呼ばれていますが、実際の左大臣・右大臣は高位の者なので弓矢を持つことはありません。この人形は平安時代以降の役職で、貴族が外出するときに警護する近衛府の官人「随身」と言われ、正しい官職は「近衛中将」または「少将」です。

この随身は神社の神門で左右に配置されていることもあるので、なじみのある人も多いはず。神社ですと「随神」と名前を変え、神社に向かって左が「矢大臣(櫛磐間戸神〈くしいわまとのみこと〉)」、右が「左大神(豊磐間戸神〈とよいわまとのみこと〉)」です。

この二神は天照大神が天石窟から出た後、再び使われないように守る門番です。

また、配置にも注意です。雛飾りですと向かって右が赤ら顔のおじいさん。

歌詞に「赤い顔して右大臣」とあり、一見正しいように思えるのですが、宮中の配置はすべて「天皇から見た」呼称ですので、歌詞は「左大臣」にしなければ整合性が合いません。「右近の橘・左近の桜」はきちんと「男雛から見た」配置になっています。

ちなみに右より左の方が上位にあるという考えがあります。なので年配の左大臣が、若者の右大臣よりも高位です。それなのに「お酒飲んじゃった?」と疑われちゃったんですね。

男雛はなぜ右?

では男雛は右(向かって左)に座るのかというと、それは大正天皇が西洋のしきたりにならったから。本来は天皇は左、皇后は右にいらっしゃいましたが、大正天皇以降、天皇陛下はいつも右に立つようになったため、男雛を右(向かって左)にすることが一般的となったとか。

うーん、ややこしい!

広く庶民に広がったのは江戸後期以降と言われる雛飾り。歴史をひもとくとまだまだトリビアがありそうです。

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