星稜高の監督、習志野高の「サイン盗み」を主張も高野連は黙殺 抗議について処分も示唆し批判殺到

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星稜高の監督、習志野高の「サイン盗み」を主張も高野連は黙殺 抗議について処分も示唆し批判殺到

 横浜高校の「握手拒否」問題で、高校野球ファンが球児にバッシングを浴びせている最中の28日、今度は習志野高校のあるプレーを巡り、星稜高校・習志野高校・高野連に批判が殺到している。

 甲子園ではこの日2回戦が行われ、第3試合で習志野高校(千葉)と星稜高校(石川)が対戦。1回戦で強豪・履正社高校を相手に17奪三振と好投した星稜・奥川恭伸投手のピッチングに注目が集まっていた。

 試合は星稜が先制するも、4回に習志野が同点に追いつくが、その際、星稜の捕手が「セカンドランナーがサインを盗んでいる」と審判にアピールする場面があった。さらに、同じイニングで星稜・林監督からも抗議が入り、審判団は直ちに集まり対応を協議することになる。

 結局、試合はセカンドランナーへの警告のみで進み、調子を崩した奥川はこの回1失点。その後、好投するも終盤に失点を許し、ホームランを打たれるなどして敗退した。

 この敗戦に激昂したのが、星稜・林監督。習志野・小林徹監督の部屋を訪れると、サイン盗みの件について、「フェアじゃない」と猛抗議したのだ。その剣幕は凄まじいものだったようで、「証拠はある。映像をここで見せてもいい」と収まらず、最終的に関係者が引き離したそうである。

 これを受けた高野連は、審判副委員長と審判幹事が試合後に会見。4回にアピールを受けて審判4人が協議した内容について、「サイン盗みがあったと判断するに至らなかった。走者に紛らわしい仕草をするなと伝えた」などと話し、「サイン盗みはなかった」との見方を示す。また、林監督が試合前から「習志野高校がサイン盗みをしていると審判に伝えた」と話していることについても、明確に否定した。

 今後、この件について検証する可能性は「現段階ではない」とのこと。そして、林監督については、高野連の竹中雅彦事務局長が「監督が試合後抗議するのは前代未聞」として、林監督に対し処分を行う可能性も示唆したという。一方、林監督は「1回戦の日章学園戦からやっていた」「ビデオに証拠を取ってある。誰が見てもわかる」「対策によるサインミスでパスボールに繋がった。フェアじゃない」と話し、憤りを見せている。

 この件を受けた高校野球ファンは「習志野はサイン盗みなんかしていない」「高校野球の球児は清廉潔白。そんな事するはずがない」と林監督に批判を浴びせる。一方で、「林監督があそこまで怒るということは絶対にやっている」「少なくとも検証するべき」「なぜ不問とするのか」などと、習志野高校の球児や監督、そして高野連に批判を浴びせるファンも多い。なお、両校の選手は試合後握手をしており、こちらについては「美しい」「気持ちいい」と様式美を賛美するファンが続出した。

 今回の件について、高野連は「審判団が疑わしい行為はない」と判断しており、それが最終結論だと話している。そして、竹中事務局長は「フェアプレーの徹底を呼びかける」とあくまでも性善説に立ち、林監督の「証拠がある」という主張には耳を貸さず、目を背け、抗議したことに対し処分を加える模様だ。

 セカンドランナーが捕手のサインを解読し、バッターにサインを送ることは非紳士的行為とされており、高校野球では昭和の時代は許されていたものの、現在は禁止となっている。しかし、今回の習志野や24日の横浜高校、さらには秀岳館高校がサイン盗みの嫌疑をかけられ、甲子園で注意を受けたことがある。

 林監督が「証拠がある」と言っている以上、高野連としてはその主張に耳を貸し、検証するべきではないかと思われる。しかし、竹中事務局長や審判部は「ない」と頑なに主張しており、「健全な精神を持った高校球児がそんな汚いプレーはしない」「疑いたくない」という、「臭いものに蓋」論を採用している模様だ。

 「グレー」とするよりもしっかりと検証し、再発防止策を講じるべきだと思われるが、高野連はそんな気はさらさらないようだ。汚いプレーがあっても、礼に始まり握手で終われば、全て美談で片がつくと考えているのだろう。あくまでも性善説に立ち、監督の主張に耳を貸さず、「事なかれ主義」を貫く対応には、呆れるばかりだ。

文・櫻井哲夫

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