「いだてん」第14話振り返りと予習。女子体育の普及に貢献した二階堂トクヨとは?
「いだてん」14話「新世界」が放送されました。ストックホルム編が終わり、いよいよ新章突入。
四三と三島は敗北しての帰国となって晴れやかな気持ちではないうえ、久しぶりの日本は明治天皇崩御後の自粛ムードに包まれ、様変わりしたような故郷に少々困惑する場面もありました。
世間は出発時ほど関心を向けませんでしたが、四三の学友たちは努力をたたえ、四三の話に聞き入ります。が、そこへ「敗因は何か」と問う声が。東京高師の男子学生ばかりが集う報告会で目立っていた女性・二階堂トクヨ(演:寺島しのぶ)です。
金栗さんは精いっぱいやったのに責めるようなことを言うな、女のくせに。そう囃し立てる男子学生を「棚から落ちたぼた餅め!たまたま男に生まれただけのボンクラという意味だ」とド迫力の台詞で黙らせてしまうのです……。そして、永井とともに「日本のこれからの体育推進のためには敗因から学ばなければならない」と語ります。
初登場シーンから強烈な印象を与えたこの二階堂トクヨ、日本の女子体育普及に尽力した女性でした。
国語教師になるはずが……なぜか体育まで担当することに永井道明の弟子として登場した二階堂トクヨ。もともと体育会系の人だったのかと思いきや、実はもともと文学を好んでいて体育は苦手だったのだとか。
永井道明。お茶の水女子大学デジタルアーカイブスより。
宮城県大崎市三本木に生まれたトクヨは福島県尋常師範学校と東京女子師範学校(現・お茶の水女子大学)を卒業して教師となり、石川県立高女に赴任します。当然国語の教師になるものとはりきっていたトクヨでしたが、なぜか体育(体操)まで受け持つことに。文学に没頭していたトクヨにとって体操はもっとも苦手な科目……。
教師として教えるからには真剣に、とキリスト教宣教師ミス・モルガンの元で体操に取り組んだところ、病弱だったトクヨはみるみる丈夫な体になっていきました。そんな自身の体験を通して、「これからは女子教育にも体育が必要だ」と感じたそうです。
もっとも苦手な体操を受け持ったことが、彼女の人生の転機でした。これを機にトクヨは体育の勉強に励み、女子体育を天職としていくことになるのです。苦手だったものでも良さがわかれば考えを改め本気で学ぶ。柔軟な考え方を持っていたのですね。
このあとトクヨは東京女子師範学校の助教となって永井の弟子に。その後イギリス留学を経て、「女子体育は女子の手で」と私財を投げうって「二階堂体操塾」を創設します。これは現在の日本女子体育大学の前身でした。
二階堂トクヨの留学後については、次回以降ドラマでじっくりと描かれることでしょう。
日本に○○を持ち込んだ人物ところで、永井の弟子ということで体操が専門かと思いきや、イギリス留学中に知ったスポーツをいくつか日本に紹介し、広めています。
それがクリケットとホッケー。クリケットは特に今の日本ではあまりメジャーなスポーツではありませんが、世界の競技人口は第2位(推定)。世界では広く親しまれたスポーツです。
一方、発祥地ではほとんど遊ばれなくなったのに日本ではメジャーになったスポーツも今回紹介されましたね。ドッヂボールです。可児徳が坪井玄道とともに日本に広めたとされています。その実、普及につとめたのは永井道明だったとか(笑)永井はスキーの普及にも貢献しています。こうしてみると、「いだてん」に登場する教師陣には「日本に○○を持ち込んだ人」がたくさんいることがわかります。
ストックホルム編が終わり、ここからは今までメインだったマラソンや短距離などの陸上競技に加え、次回オリンピックに向けてさまざまなジャンルのスポーツも描かれていくでしょう。そして、男子スポーツだけでなく女子スポーツも。
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan