猫のことかと思ったら・・・「固体」であり「液体」である、物質の新たな状態があることを発見(英研究)

カラパイア

猫のことかと思ったら・・・「固体」であり「液体」である、物質の新たな状態があることを発見(英研究)
猫のことかと思ったら・・・「固体」であり「液体」である、物質の新たな状態があることを発見(英研究)

image credit:Potassium in paraffin oil (Jurii/Wikimedia Commons, CC BY 3.0)

 固体でありながら液体である?それって猫のこと?

 「猫は個体と液体、両方になりうるか?」を流動学で説明し、2017年にイグノーベル物理学賞を受賞したあの話かと思ったら、今回は全く別の話だ。

 物質には3つの基本的な状態がある。固体、液体、気体(これにプラズマを加えることもある)だ。んな常識を打ち破り、固体であり、それでいて液体でもあるという新しい状態が発見されたそうだ。

 改めて言うが猫のことではない。

 それは金属カリウムを超高圧と超高温にさらすことで出現するという。 このときのカリウムは固体でありながら、解けているのだ。
 スコットランド・エディンバラ大学物理学者のアンドレアス・ハーマン氏はこれについて、次のように説明する。

スポンジを水に浸して、水滴が滴っているような感じです。ただし、そのスポンジも水でできているんですよ。


・単純なカリウムが複雑な形態に自己組織化

 カリウムのつくりはかなり単純で、固体の状態にあるときはシンプルな結晶格子構造をしている。しかし極端な条件にさらされると、不思議なことが起こる。

 高圧にさらすと、原子が複雑な構造に自己組織化するのである。そのときのカリウムは、四角形をした原子の筒が5つあり、その間に原子鎖が4つならぶという複雑さだ。

1_e0
image credit:McBride et al。、Phys Rev. B、2015

 似たようなことは、ほかの物質でも知られている。たとえば、導電性を持つ金属ナトリウムなら高圧の中では絶縁体になる。またリチウムなら高圧かつ低温条件では超電導体になる。

 だがカリウムの場合、この状態のときに熱を加えると、鎖が消失するのである。

 研究者はこの現象を「鎖融解転移(chain-melting transition)」と呼んでおり、カリウムの鎖が秩序ある状態から無秩序な状態に転移しているのだと考えている。

3_e
image credit:カリウム片 Dnn87/Wikimedia Commons, CC BY 3.0

・秩序を保ちつつ、無秩序な状態へ

 シミュレーションで、カリウム原子が極限条件にさらされたときの挙動を観察したところ、圧力(2~4ギガパスカル)と温度が十分に高くなると、原子は鎖と格子が連結された状態にならぶことがわかった。

 このとき、格子状にならぶ原子同士の化学的相互作用は強く、400~800ケルビン(126.85~526.85度)の温度でも秩序ある固体であり続ける。

 ところが鎖はといえば、解けて無秩序な液体になるのである。

 研究者は、この新しい状態を「鎖融解相(chain-melted phase)」と呼んでおり、ナトリウムやビスマスのようなほかの物質でもありえるのではと考えている。

 この研究は『PNAS』に掲載された。

 てことは猫がとろ~んと液状化した状態になっているとき、「鎖融解転移」を起こしている。とでもいうのだろうか?

 いやまったく違うから。猫のことと一緒に考えないようにしよう、そうしよう。何がなんだかよくわからないから猫で例えようとした私が悪かった。

References:A New 'State' of Matter Can Be Solid And Liquid at The Same Time/ written by hiroching / edited by parumo
追記:(2019/4/ 16)本文を一部訂正して再送します。
「猫のことかと思ったら・・・「固体」であり「液体」である、物質の新たな状態があることを発見(英研究)」のページです。デイリーニュースオンラインは、海外などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧