魚や水鳥が減っていると思ったら・・・イギリスの湖でピラニアの死骸が2匹発見される。

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魚や水鳥が減っていると思ったら・・・イギリスの湖でピラニアの死骸が2匹発見される。
魚や水鳥が減っていると思ったら・・・イギリスの湖でピラニアの死骸が2匹発見される。

itsme23/iStock

 ピラニアはご存知、南米アマゾンを原産地とする淡水魚の総称で、「歯のある魚」を意味するその名の通り、尖った顎に鋭い歯を持つ肉食の魚だ。

 主な餌は魚ということだが、種によっては獰猛なものも存在する。

 そんなピラニアが、アマゾンとは気候が正反対ともいえるイギリスのとある湖で発見されたという。一体なぜ!?
・湖に浮いていたピラニアの死骸を発見

 サウス・ヨークシャー州ドンカスターのエドリントンにあるマーティンウェルズ湖で、今月2匹のピラニアの死骸が発見された。

 ダーヴェイ・ホワイトさんとパートナーで3児の母リサ・ホルムズさんは、8歳息子を連れて家族でのんびりと湖近くの散歩を楽しんでいた。

 釣り好きのダーヴェイさんは、湖の端を注意深く見ていた時に釣台の近くに1匹の魚が浮いているのを見つけた。

 その魚の死骸を水面から引き揚げて見てみた時、すぐには何の魚かわからなかったが、よくよく見ると鋭い歯があることから、ピラニアではと思った。

 そこで家に帰ってグーグルで調べてみると、やはりピラニアだということがわかり、ショックを受けた。

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Image by Artsiom Horsky from Pixabay

・別の釣り人男性もピラニアの死骸を発見

 一方、こちらも釣り人のギャリー・ウォーカーさんとパートナーのトニー・フーパーさんも、4月14日に別のピラニアの死骸を同じ湖で発見した。

 この日、湖にいるカモに餌をやろうとやって来たトニーさんとギャリーさん。しかしそこには1羽の親ガモと2羽の子ガモがいるだけで、前はもっといたはずのカモやガチョウなど、他の水鳥の姿が見えなかった。

 「他の鳥はどこへ行ってしまったんだろう?」そう思ったトニーさんは、同じく湖近辺を散歩していた人たちとその心配を口にしあっていた。

 しかし、1匹のピラニアの死骸を発見し、驚愕。


・湖の魚や水鳥が減っていた

 以前この湖には、毎年ヒナを返しにハクチョウもやって来ていたそうだ。

 また、これまで湖に生息していた鯉や、ローチやテンチ、ウグイといった鯉科の魚、マス、スズキなどが、水鳥を含めて姿を消してしまったのは、もしかするとこのピラニアが原因かもしれないと思い至ったのだ。

魚の死骸がピラニアだとわかって、背筋が凍る思いでした。

この辺りは、家族連れや犬を散歩させる人たち、釣りをする人たちに人気のスポットで、いつも賑やかなんです。近くには子供たちが遊べる公園もあるし、この湖で子供たちは水遊びしたり泳いだりすることもあるんですよ。 

と、トニーさんは話している。

マーティンウェルズ湖

South Yorkshire. Doncaster ( Lakeside ) Amazing drone video from the sky...

・ピラニアを飼っていた人が池に離した可能性が高い

 2匹のピラニアの死骸は、ドンカスターにある環境局へと引き渡され、今後調査が行われるとのことだ。

 同局アシスタント・ディレクターのジル・ジリーズさんは、ドンカスター協議会が所有するこの湖は深く危険なため、水遊びをしたり泳いだりしないようにと警告をし、次のように述べている。

ピラニアの本来の生息地を考えても、水温が10℃以下というイギリス北部の湖でピラニアが繁殖し、生存する可能性はかなり低いといえます。

今回のケースは、恐らく水槽でピラニアを飼っていた飼い主が、ピラニアが大きくなりすぎて対処に困り、野生に返したものと考えるのが妥当です。

ですが、認可されていない生物の導入は、寄生虫や病気を拡散させる危険性を高めます。また、許可なく魚を放流したり、移動させたりすることはイギリスでは禁じられています。

熱帯魚が水槽内で成長しすぎたという場合、飼い主は対処法を専門家に尋ね、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。


・責任ある飼育が自然生態系の保護にも繋がる

 昨今、地球温暖化が深刻な問題として取り上げられているのは周知の事実だ。温暖化は、人間よりも、動植物など自然生態系に著しく大きな影響を及ぼす。

 しかし本当に問題なのは、温暖化による直接的影響よりも、人為的影響かもしれない。

 人間による生物の生息地を破壊する森林破壊などの行為は、温暖化と比例して野生生物にダメージを与えることにしかならず、生物の多様性が減少すると生体系が崩れ、野生生物を絶滅へと導いてしまう。

 また一方で、今回のように本来生息しない土地にペットのピラニアを放してしまうことも、自然の生態系にダメージを与える行為に他ならない。

 ちなみに、ワシントンD.C.の情報誌『Smithsonian Magazine』ライターのヘレン・トンプソンさんは、このように注意喚起を促している。

ピラニアは、一部の熱帯魚ファンの間では人気がありペットとしても飼われていますが、水槽で飼っているうちに大きくなりすぎると、地元の湖に放してしまう飼い主がいるのです。

そうやって、南米原産のピラニアがイギリスや中国、テキサスなど世界中の水路に姿を見せることになるわけです。

それが原因により、自然生態系が損なわれる可能性があるため、ペットとして飼育されているピラニアを、野生へ返すべきではないのです。
heart / thesunなど/ written by Scarlet / edited by parumo
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