森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」 ★四度目逮捕で万事休すか (1/2ページ)

週刊実話

 4月4日、東京地検特捜部が、カルロス・ゴーン容疑者を特別背任の容疑で4度目の逮捕に踏み切った。弁護人である弘中惇一郎弁護士は、「必要性も合理性もない逮捕は、暴挙と言わざるを得ない」と検察を厳しく批判。そして、ゴーン容疑者が4月3日にツイッターで「4月11日に記者会見を開く」と表明した直後に逮捕されたことを「一種の口封じだ」と非難した。

 ただ、私はゴーン容疑者が会見を開くと発表したときから違和感を覚えていた。なぜ会見が1週間以上先なのか。ゴーン容疑者が保釈されたのは3月6日だ。会見の準備をする時間は十分あった。また、ゴーン容疑者は逮捕前日にフランスの民放テレビ局のインタビューを受けている。順番からすれば、会見を開くのが先だろう。

 実は4月3日朝に特捜部がゴーン容疑者を再逮捕する方針だというニュースが流れていた。ゴーン容疑者が、会見を4月11日に開くとツイッターで公表したのは、その日の午後なのだ。逮捕の方針を知った弘中弁護士が、急遽、8日先に会見をセットするようゴーン容疑者にアドバイスしたのではないか。なぜなら、そうすることで、検察の横暴を批判する世論を喚起できるからだ。実際、海外メディアを中心に、そうした報道がいくつもなされた。

 しかし、本当にゴーン容疑者が潔白なのであれば、逮捕前に会見を開けばよかったはずだ。しなかったのは、やはり痛いところがあるからだろう。真実を語るのは、ある意味で簡単である。ありのままを話せばよいからだ。だが、ウソをつくのは意外に難しい。会見を開けば、記者からさまざまな質問を受けるから、矛盾が生じてしまう。

 弘中弁護士は、4月9日に、逮捕前に収録したゴーン容疑者のビデオを公開した。それは、弁護士が十分に吟味して、容疑者が不利にならない部分を厳選したものだった。

 オマーン・ルートと呼ばれる今回の逮捕容疑は、構造が極めてシンプルだ。中東日産から販売促進費として現地販売代理店に支払われた17億円のうち、5億6000万円が、ゴーン容疑者の実質支配する口座に還流し、ゴーン容疑者は、それを元手に基本装備だけで15億円もする巨大クルーザーを購入したというものだ。この見立てが正しければ完全な着服だし、金の動きを示す証拠があれば、何の言い逃れもできない。

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