【仏像の見分け方】仏像を見分けるにはファッションに注目!その2:菩薩・明王・天部

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【仏像の見分け方】仏像を見分けるにはファッションに注目!その2:菩薩・明王・天部

前回は、「如来」像の特徴について詳しく説明しました。

【仏像の見分け方】仏像を見分けるにはファッションに注目!その1:如来

今回は、「菩薩」、「明王」、「天部」の特徴について説明していきたいと思います。

【菩薩】

「菩薩」の正式名称は、菩提薩 埵 (ぼだいさった) で、サンスクリット語のボーディサットヴァを音写したものです。「悟りを求めるもの」という意味があります。菩薩は悟りを開く前の修行の段階にいますが、将来、如来となることが約束されています。

三十三間堂の観音菩薩は、多面多臂の千手観音菩薩(wikipediaより)

如来より近い立場で衆生を救うため、民衆に慕われました。「観世音菩薩」「文殊菩薩」などが知られています。「菩薩」は悟りに達する前の、修行している釈迦の姿がモデルになっています。

出家以前の釈迦はインドの王子様だったので、菩薩は基本的にインドの貴族のような格好をしています。左肩から右わき下に「条帛」(じょうはく )と呼ばれるタスキがけした細い帯状の布や「天衣」(てんね)と呼ばれる肩から胸側に垂らしている白い帯状の布など、優美な服を装い、長い髪を美しく結い上げて宝冠をかぶり、「瓔珞」(ようらく)といわれるネックレスや「腕釧」(わんせん)などの装身具で飾り立てているのが特徴です。

【明王】

「明王」はサンスクリット語でヴィドゥヤー・ラージャといい、ヴィドゥヤーには「真言」(明呪・みょうじゅ)、ラージャは「王」という意味があります。つまり、明王とは真言の力を持つ最たる存在ということです。

代表的明王の一人軍荼利明王は、南方を守護する明王(wikipediaより)

明王は、もともと密教から生まれた存在で、密教では真言の効力に最も重きを置いています。密教において、最高の存在とされるのは「大日如来」ですが、大日如来は変化(へんげ)することができ、「明王」は大日如来が変化した姿と考えられています。

「不動明王」や「愛染明王」などが「明王」として知られています。温和な如来ではゆうことを聞かないような業の深いものを調伏するため、恐ろしい外貌と怒りの表情をしています。多面多臂が多く、手にはあらゆる武器を携えています。燃えている炎を背にし、蛇などが体中に巻き付いた姿は、見るものを圧倒します。

【天部】

「天部」は、サンスクリット語でテーヴァといい、仏像の中でも一番種類が多い存在とされています。

本尊の安置されている金堂へと至る門を守護する仁王像も天部(wikipediaより)

もともとは、主にバラモン教やヒンディー教にでてくるようなインド固有の神様でしたが、仏教に取り入れられ、仏法を護る役割を担いました。なかには、中国や日本の影響をみられるものもあります。

主な天部として「帝釈天」や「梵天」などがあげられます。「天部」の神々の性格は多彩であるため、容姿のバリエーションも多彩です。よって、その特徴を一言でくくることは難しいですが、外形は大きく次の五つにわけることができます。

①貴紳形(中国風の貴人) ②天女形(中国風の女性) ③武将形(西域風の武人) ④鬼神形(怪奇な鬼、多面多臂など) ⑤鳥獣形(頭部が鳥や動物)

仏像の見方、次回はいよいよラスト! 「垂迹」と「羅漢・祖師」を見ていきます。

参考:水野 敬三郎『ミズノ先生の仏像のみかた』

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