水中洞窟で発見された氷河期の巨大クマの骨(メキシコ) (2/3ページ)
それなのに、南米ではない地域で、これまでで最高の状態のサンプルが発見されたのである。
Schubert et al, Bio Letters, 2019
歴史的に見れば、動物たちは北米と南米の両大陸の間をいくども移動してきた。
もしかしたら今回のクマとオオカミは、そうした移動の最中、ふと立ち止まってみる気になったのかもしれない。そして、そのまま中米の青く生い茂った地域に居ついてしまった。
別の可能性としては、3万5000年から1万2000年前の最後の氷河期の間か後に、一度南に移住した彼らが、再び北へと移動を始めたのだとも考えられる。
Roberto Chavez-Arce
・氷河がうながした動物の移動
現場から多様なナマケモノが発見されていることからも、中米の生物の歴史は想像以上に複雑であることが窺える。
研究者は、後期更新世の末期において氷河が引き起こした風景や生態系の変化が、クマやオオカミ、あるいホモ・サピエンスが移住をしたことの裏付けであると考えている。
なお、この洞窟でなされた最大の発見は、2007年に発掘された2つの人骨である。その1つは、およそ1万3000年前に生きていた10代の少女のものだ。
・なんという神秘的光景。メキシコの水中洞窟で12000年前の少女の頭蓋骨が発見される。