レディー・ガガとブラッドリー・クーパーの歌力で往年のミュージカル映画が生々しくよみがえったDVD『アリー/ スター誕生』! (2/3ページ)
もちろんジャクソンに見出されたことによってアリーはどんどん成功の階段を駆け上がっていくのだが、そのために本来の持ち味である本格派シンガーのスタイルを捨てて、ポップなダンスチューンに変化していく。
それを快く思わないジャクソンはますます飲んだくれて、アリーのマネージャーに別れろと迫られ、最後は自ら大きな悲劇的決断をするというストーリー。まさに王道中の王道なので、これはネタバレというほどのものではないと思う。
■デュエット、共作のシーンがひたすら胸を打つ、魂の交換のような歌対決!
気がつくとほぼ7〜8割がたが音楽で彩られている映画だった。言ってみればありきたりのストーリーだが、そこは音楽の力で一気に深い感動へ持って行ってくれる。そこはこの二人でなくてはできなかったことだろう。
もちろん旧作の数々と基本は同じながら、鼻に対するコンプレックス、レコード会社のお偉いさんに「歌はいいけど、ルックスがね」と言われたというレディー・ガガの実話も散りばめられているのがポイント。だが観ているうちに、ガガの容貌自体がクセがあっても非常に魅力的に見えてくるから、女優としてもすごい才能だと思う。
もともとアバンギャルドなファッションアイコンとしてダンスミュージックを題材に登場したガガだけに、ここまでしっかり生々しい歌の数々を(余計なデジタルアレンジなしに)聴けるのは、ヴォーカルファンとしては非常にうれしいことである。こうした基礎あってのアバンギャルドだったのだという事実が、物語にさらに箔を付ける。
「オールウェイズ・リメンバー・アス・ディス・ウェイ 〜2 人を忘れない」など、サントラ入手必須の名曲も数多く、クーパーの歌声ももっと聴きたくなる真の意味での音楽映画。