駄菓子屋はもうひとつの学校:杉作J太狼XE「美しさ勉強講座」連載104 (1/3ページ)
軟弱な男たちの姿に見かねて、あの先生が立ち上がった!
杉作J太狼XE先生の「男の偏差値がぐんとアップする美しさ勉強講座」
俺が子供の頃には駄菓子屋というのが学校の近くにあった。正門の前にあったりもした。冷静に思い出してみれば駄菓子屋ではなく文具屋だった。ノートや鉛筆も売っていた。だがプラモデルもたくさんあり、おもちゃもたくさんあった。俺が子供の頃というのはもう50年も前だがプラモデルも50円からあった。ガムやカステラ、せんべいやチョコレート、そしていろいろな玩具が当たるくじ引きは5円だった。
あの頃から50年も経ったとも言えるが50年しか経ってないとも言える。いまもまだ細々と駄菓子屋やそうした文具店は全国にあると思うが数はおもいっきり減っているだろう。新規開店する駄菓子屋もたまに見かける。開店資金がさほどいらないと思われ、始業しやすいのかもしれないが儲けも薄いはずだから始業する人にはかなりのやる気と本人の趣味性、さらにはなんらかの社会貢献的な気持ちもあると俺は思う。
そういえば俺はいちど駄菓子屋の親父の役を演じたことがある。10年ぐらい前かな。神奈川のはずれにある実際に営業中の駄菓子屋を借りての撮影であった。なかなかのロケーションで俺にしては頑張れた気がした。だがそれをいま見ることはできない。撮影したフィルムが盗難にあい、撮り直しとなったのだが撮影から撮り直しまでの半年ぐらいのあいだにその駄菓子屋は廃業し、取り壊され、さら地になってしまったのだ。
俺はくじ引きが好きだった。本来なら俺のこづかいでは手に入らない大きなおもちゃやプラモデルが、くじの薄紙をぺろっとめくり、そこにある数字が1とか2とか3だったら手に入る。ソノシートやレコードが当たるくじもあった。当たりさえすればたった5円で手に入る。
ま、めったに当たらないのではあるが。
当たりが入ってないこともあったかもしれない。
だが信じるほかになく、世の中は思ったようにはならないということを覚えたかもしれない。たいせつなことだったような気がする。