王貞治「長嶋茂雄、巨人軍、大谷翔平、東京オリンピック、そして愛しのプロ野球へ」魂の伝言 (4/5ページ)

日刊大衆

王氏の悲願は、もちろん侍ジャパンの金メダルだが、その表情は険しいという。「自国開催の大会だし、金メダルが絶対条件だけど、メジャーが協力してくれないとベストメンバーが組めない。監督の稲葉(篤紀)は苦しむだろうね」

 この王氏の言葉には重みがある。2006年に野球の国際大会WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)第1回大会で、王ジャパンを率いた際、同じ経験をしているからだ。「ヤンキースの方針もあり、“4番・松井秀喜”構想が早々に頓挫。メジャー挑戦を表明していた城島健司や、メジャー2年目に備えた井口資仁も出場を辞退しています。日本のプロ球団からも辞退者が続出、王監督の構想とは程遠いメンバーで戦うことになったんです」(前出の球界関係者)

 そんな王氏に救いの神が登場する。マリナーズ(当時)のイチローだ。イチローは、王氏の携帯に直接電話をかけてきたという。以下はイチローの弁。「僕はいつも非通知でかけるんですが、それでも王さんは“はい、王です”と出てくれた。誰からかかってきた電話か分からないのに、この対応はすごい。王さんの偉大さを知りました」

 王氏に心酔したイチローは、合宿ではダッグアウトから外野まで全力で走って飛び出し、ヤル気を示したという。「米サンディエゴのペトコパークで行われたキューバとの決勝戦では、1点差に迫られた9回にイチローがタイムリーを打って試合を決めました。クールなイチローが、“人生最高の日”と言って喜びを爆発させましたからね」(大会を取材したスポーツ紙記者)

 見事、チームを世界一に導いた王氏だが、一時は優勝が絶望視されていた。2次リーグ最後の韓国戦に敗れたため、準決勝進出が難しくなったためだ。チームは意気消沈し、ムードは最悪となったが、王氏は予定通り、準決勝のミーティングを行ったという。「勝負ごとは何が起こるか分からない。勝ち進むのは難しくなったけど、予定通りミーティングを行う」

 礼儀正しく“クソ”がつくほど真面目、そして誰よりも負けず嫌いの王氏。その執念が“奇跡”を呼ぶ。

「王貞治「長嶋茂雄、巨人軍、大谷翔平、東京オリンピック、そして愛しのプロ野球へ」魂の伝言」のページです。デイリーニュースオンラインは、松井秀喜王貞治大谷翔平張本勲長嶋茂雄エンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧