プロレス激談・藤波辰爾×天龍源一郎が語る「ジャイアント馬場とアントニオ猪木」 (2/4ページ)
天龍:でも、藤波さんや佐藤昭雄さんは分かれた団体の選手にも「元気?」なんて挨拶してましたよね。
ーー天龍さんのジャイアント馬場像は?
天龍:僕は相撲界にいたから、和の形式しか知らなかったわけですよ。だから、ホテルのラウンジで葉巻を吸ってキャデラックを運転している馬場さんを見て、すごい刺激を受けましたね。一時期、馬場さんがいたリキアパートに仮住まいしていたんですけど、空いてる部屋に冷蔵庫だけがあって。「なんだろう」と開けたら、葉巻がビッシリ入ってる。
藤波:しけらないように保存していたんだろうね。
天龍:アメリカナイズされた馬場さんには驚かされることが多かったですよ。
ーー馬場さんからマナーも教わったとか。
天龍:そうですね。ファンクス兄弟のもとで修業していたとき、シャワーを浴びてパンツ一丁で出てきたら、馬場さんに「おい、女性の前でパンツ一丁はないだろ」と叱られました。エレベーターに乗ろうとすると、馬場さんに「女の人が先だろ」と止められて(笑)。
藤波:僕も付き人時代に、猪木さんから礼儀を教わりました。ヨレヨレのジャージなんか着ている選手は、猪木さんに怒られていましたから。
■ジャイアント馬場はオゴらない?
ーー馬場さんは、倹約家という評判もありますが?
天龍:金にはシビアでしたよ。馬場さんはレスラーと飯を食っても、自分の分だけ支払ってましたから。他のレスラーには、自分で食った分は自分で払えと。角界のような「ごっつぁんでした」という世界を排除したかったんでしょう。
ーーただ、天龍さんは、馬場さんからお金を出してもらった数少ないレスラーだと聞いてます。
天龍:そうそう。新聞記者の人たちと飲んで、夜中2時くらいになると「ファイトマネーじゃ足りないな」と気づくわけですよ。付き人に「まだ馬場さんは起きて本を読んでるはずだから、金を引っ張ってこい」と言って(笑)。
藤波:アハハハハ!
天龍:付き人が10万円持って戻ってくるんですよ。馬場さんは、記者の人たちを接待してると理解してくれたんでしょう。