生前贈与後に相続放棄は可能?注意すべき債権者取消権とその要件とは? (1/2ページ)

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生前贈与後に相続放棄は可能?注意すべき債権者取消権とその要件とは?

有効な相続税対策の一つに、生前贈与があります。生前に財産を相続人に贈与しておけば、相続開始前3年分を除き、相続税の対象からその財産を除くことが出来ます。受贈者一人当たり毎年110万円までであれば、贈与税もかかりませんので、早いうちからその範囲で贈与をすることが有効になります。

■相続放棄との関係性は

ところで、被相続人にたくさんの借金があるような場合などによく使われる手法として、相続放棄があります。相続は被相続人の財産や債務を相続人が承継する手続きですので、何もしなければ債務も引き継いでしまいます。このような場合、相続人に大きな不利益が発生する可能性がありますので、財産も引き継がない反面、債務も引き継がないという相続放棄が認められています。

ここで問題になるのは、生前贈与を受けるということは財産を被相続人からもらっていることになりますので、相続放棄もできなくなる可能性があると考えられることです。この点、相続放棄は相続人個人の意思によるものですし、生前贈与と相続は異なるものですから、原則として問題ないとされています。

■注意したい債権者取消権

ただし、注意しなければならない制度があります。それは、債権者取消権という制度です。これは、債権者が自分の債権の返済を確保するために、債務者が行った財産を減少させる行為を取り消す権利をいいます。簡単に言えば、債務者が借金を返さないために、意図的に自分の財産を他人などに動かして、財産がないため返済できませんといった状況を作りだすことを制限するための規定です。

生前贈与は、被相続人が自分の財産を減らす行為ですので、見方を変えれば自分の借金を返す資力を失わせて債権者の権利を侵害し、相続人に利益を与える行為とも言えます。こうなると、債権者としては困りますから、仮に借金を返さないよう意図的に生前贈与をするような場合には、この債権者取消権を行使して生前贈与を取り消すことがあり得ます。

■債権者取消権の要件

この債権者取消権ですが、その要件として、債務者に債権者への返済を困難にする意志(詐害意思)があったことや、債務者から贈与等を受けた者が、債権者を害することを知っていたことなどが必要になるとされています。

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