現代社会における仏教の受容~マインドフルネスと「おとぎ話」~ (1/3ページ)

心に残る家族葬

現代社会における仏教の受容~マインドフルネスと「おとぎ話」~

仏教には禅、密教、浄土系など様々な宗派・思想があるが、関心の無い人は意識することはあまりないようだ。自分の家の宗派を言える人も少なくなってきている昨今だが、葬式仏教などと揶揄される一方、最新の流行のひとつとして受容される一面もある。

■理知的な仏教

仏教は理知的な、宗教というより深遠な哲学として人気がある。ブッダは死後の生についてはあるともないとも言わない(問題にしない)「無記」の態度を取っており、物事にはすべて原因があって結果があるとする「縁起」の思想などは論理的でオカルト的な要素の入る余地はない。神々の存在は否定しないものの、キリスト教的な創造神も想定しないことなどから、仏教は元々無神論なのだと公言する人もいる。無神論=理知的であるという根拠は不明だが、そのような科学的な人が好む仏教は禅であり、原始仏教に近いとされるテーラワーダ仏教などである。

■ZENと仏教とマインドフルネス

特に仏教で人気があるのは禅だろう。鈴木大拙(1870~1966)の海外普及の功績もあり、「ZEN」は世界共通語になった感がある。禅の持つ、「無」を説き「覚り」を説き、座禅を組み自我を超越する云々のイメージは、聖書が語る「おとぎ話」と比べてもクールで理知的な印象を与える。また座禅・瞑想中の脳波を医学的に検証する、一部の心理学と接近するなどして、科学的哲学的無宗教的イメージが強くなった。

禅とは対照的に多神教的要素の強いチベット密教も人気が高い。アメリカではチベット密教の瞑想体系のみを切り取り、非宗教的なエクササイズとして受容された。密教を禅的に解釈したといえる。このような仏教市場(?)に、原始仏教に近いとされ、豊富な瞑想技法を有するテーラワーダ仏教も参入してくる。これらの潮流は「マインドフルネス」と呼ばれ、有効なストレス軽減法としてアメリカのビジネスパーソンに好まれており、昨今では日本に逆上陸してメディアにもよく登場するようになった。「マインドフルネス」という言葉に宗教的な響きは感じられない。「マインドフルネス」を扱う書籍には大抵、「Apple、Googleのビジネスパーソンが実践している」「宗教的な要素は一切ない」といった文言が綴られている。

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