Mr.マリック「『週刊大衆』は寝るときに本当に役立つんです」麻美ゆまのあなたに会いたい!〔前編〕
ハンドパワーです(笑)。この言葉からも分かる通り、今週、私が会いに行ったのは“超魔術師”のMr.マリックさんです! ハンドパワーブームが巻き起こったのは1989年。私はまだ2歳ぐらい。当時のことは全然覚えていないんだけど、テレビの再放送で見たことはあります。本当に不思議ですよね~。そして私は不思議なことが大好き。では、いろいろとお話を聞いてみたいと思います。
ゆま「今日は、よろしくお願いいたします!」
マリック「よろしくお願いいたします。お若い方ですから、ご存じないでしょう。せっかくなのでひとつ、超魔術をお見せしましょう」
ゆま「え? いきなり!? まだ私、心の準備が……」
マリック「さあさあ、早く。こちらにいらっしゃい」
ゆま「あん。意外と大胆なんですね」
マリック「では、このスプーンを持ってください」
ゆま「はい」
マリック「ふんっ!」(Mr.マリック氏は指1本触れていないのに、スプーンが曲がっていく……)
ゆま「え? うそうそ。怖い。えーーーーっ!」(スプーンが折れた! ※この模様は動画で観賞できます。「日刊大衆」サイト内の「動画」のコーナーをご覧ください)
マリック「ハンドパワーです」
ゆま「すごい! 私、手汗が止まらないんですけど」
マリック「驚いていただけてよかったです」
ゆま「しかも会うなり、いきなり始まったじゃないですか。挨拶するみたいに」
マリック「マジックは初対面の方とコミュニケーションを取るツールとしても使えるんです。言葉も世代も関係なく、マジックを見せて驚かせれば、人は笑ってくれるんです」
ゆま「確かにそうですね。私、お会いするまで緊張していたんですけど、なんだかハッピーな気分になってきました」
マリック「よかったです。ところで、この雑誌は『週刊大衆』なんですよね」
ゆま「はい! 健全な男性のための週刊誌です」
マリック「僕は若い頃、『週刊大衆』に大変お世話になったんですよ」
ゆま「え?(笑)」
マリック「あれはね、寝るときに本当に役立つんです」
ゆま「グラビアも多いからですか?」
マリック「それもありますけど、僕が20歳ぐらいの頃ですね。お金がなくて喫茶店の2階を借りて寝泊まりしていたんです。でも、布団がないからとにかく寒い。そんなとき、路上に週刊大衆が大量に捨ててあってね。それを持ってきて、一冊ずつ開いてガムテープでくっつけていったんです」
ゆま「アハハ。まさか、掛布団代わりに!?」
マリック「ええ。新聞紙と違って週刊誌は厚みもあるので皺くちゃにならないし、温かい。しかも、グラビアを見ながら眠れますからね。週刊大衆のおかげで、冬を乗り切れましたよ」
ゆま「アハハ。まさか、この週刊誌がそんなふうに役立っていたとは」
マリック「ありがとうございます」
■女の子は夢よりも恋愛に夢中になる
ゆま「マリックさんはその頃から、マジックをされていたんですか?」
マリック「はい。マジックとの出合いは中学2年のときでした。転校生がやって来て、たまたま空いていた僕の隣の席に座ったんです。この転校生がマジックの天才でね。テレビにも出たことがあったんです」
ゆま「じゃあ、その転校生がいなかったら……」
マリック「そう。本当に人生って運命的ですよね。僕は彼のことを本当に尊敬して、隣の席なのをいいことに、毎日のようにマジックを教えてもらいました。今でも思いますよ。あのとき、僕の隣の席が空いていなかったら、マジシャンになっていなかっただろうなと……」
ゆま「中学生のときには、すでにマジックに夢中だったんですね」
マリック「時期的にもちょうど良かったと思います。自分は将来、何になりたいのか真剣に考え始める時期に、夢中になれるものが見つかったんですから」
ゆま「男の子って夢に向かって真っすぐ進む気がします。女の子はちょっと遅いというか、夢よりも恋愛に夢中になっちゃうんですよね(笑)」
マリック「女の子はね、つきあう男次第ですよ」
ゆま「アイタタ。実は私、中学の頃、歌手になりたくてオーディションを受けて、一次は受かって二次面接のとき、当時の彼がデートに誘ってきたんです……ホント、バカです。彼を選んでしまったんですよね(笑)」
マリック「アハハ」
ゆま「すみません、私の話をしちゃって。その後、マリックさんはマジシャンになられたんですよね」
マリック「と言っても若い頃は、デパートなどで実演販売をしていました。お客さんの前でマジックを披露して、マジックのグッズを買ってもらうんですが、なかなか難しい。もちろん、グッズが売れなかったら、一円にもなりません」
ゆま「うわあ、大変そう」
マリック「あとは当時、ナイトクラブやキャバレーなども多かったので、そこでマジックショーをさせてもらっていました。ただ、時代とともに、こういうお店がどんどんなくなっていったんですね」
ゆま「収入も減っちゃう?」
マリック「ええ。マジックをする場所がない。そんなとき、当時まだ誰も目をつけていなかった高級ホテルのラウンジでショーができないかと思い立ったんです……」(つづく)
みすたーまりっく 1949年、岐阜県岐阜市出身。1988年、日本テレビ系の番組『11PM』で超魔術師としてデビュー。それ以降、数々のテレビ番組に出演し、超魔術ブームの火つけ役となる。決め台詞は「きてます!」や「ハンドパワー」。超魔術誕生30周年を迎え、TVや舞台以外にも書籍の出版など、幅広く活躍している。近著に『超魔術の裏技術』(ワニブックス刊)がある。