あらゆるがん細胞を殺してくれると期待のウイルスが開発される。来年にも人体での治験を開始(オーストラリア) (1/3ページ)
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天然痘ウイルスに対する免疫を獲得できる牛痘ウイルスは、18世紀末にイギリスの医学者、エドワード・ジェンナーが種痘(天然痘の予防接種)に用いたことで有名だ。
この牛痘ウイルスが、今度はがん治療に効果を発揮するかもしれないという。
オーストラリアのバイオテクノロジー企業Imugene社が開発した牛痘ベースの改変ウイルスは、がん細胞に感染してそれを破壊するのだとか。
少なくともペトリ皿の中ではあらゆるがん細胞を殺すことができ、マウスを使った実験では腫瘍を小さくすることも確認されたようだ。
来年早々にも人体での治験がオーストラリアで実施される予定らしく、今後の動きに注目が集まっている。
・これまでのがん治療法とは異なる発想のウイルス療法
来年早々にも実施される人体での治験は、いわゆるバスケット試験(同じ遺伝子変異が原因ならどのがんでも対象になる試験)が予定されているようだ。
乳がん、黒色種、肺がん、膀胱がん、胃がん、大腸がんの患者が参加し、どのがんに対してもっとも効果的なのか確かめられることになる。
マウスでは効果があるからといって、人間に対してもそうだとは限らない。そのため人体での治験初期フェーズは「死の谷」と呼ばれ、新薬開発の分水嶺となる。
しかし治験を行うユーマン・フォン教授は、ヒトがんに対して効果が証明されたウイルスがほかにもあることから期待できると話している。
たとえば一般的な風邪のウイルスを利用して脳腫瘍を寛解させたケースや、改変ヘルペスウイルスが皮膚がんに治療効果があることが確認されたケースなどである。