ふるさと納税の限度額の計算方法や注意点を税理士が解説 (1/2ページ)
よく質問を受けることでもありますが、税務メリットの大きいふるさと納税について、限度額があるかどうかが問題になります。この点、ふるさと納税はその計算上、一定の金額を超えると、それ以上はメリットがないと言われます。この金額は、原則として納めるべき住民税の所得割の20%と言われます。
■控除額は3階建て
原則として、ふるさと納税の限度額が住民税の所得割の20%と言われるのは、ふるさと納税の控除額が、所得税、住民税、そして住民税の特例額の3つからなるからです。具体的に見ると、ふるさと納税した金額は、原則として所得税の計算上、以下だけ控除されます。なお、復興所得税は考慮しません。
1 所得税
(ふるさと納税した金額-2,000円)×所得税率
次に、住民税については、以下の金額が控除されます。
2 住民税
(ふるさと納税した金額-2,000円)×10%
ここでいう10%は、個人住民税の所得割の税率です。
最後に、住民税の特例額として、以下の金額も住民税から控除されます。
3 住民税の特例額
(ふるさと納税した金額-2,000円)×(100%-10%-所得税率)
ご覧いただくと分かる通り、所得税と住民税で引いていない分を、特例額として控除することが認められています。
■住民税の特例額には制限がある
ここで注意しなければならないのは、住民税の特例額の控除額は、住民税の所得割の20%までとされている点です。住民税の所得割の20%までであれば、上記の3階建ての構造からすれば、足切りの2000円を引いた金額の全額を控除できるものの、それを超えてしまうと特例額が使えませんので、全額控除することができないことになります。
この点を踏まえ、原則として所得割の20%がふるさと納税の限度額と言われているのです。
■所得税には累進課税がある
こういう訳で、おおむね所得割の20%が限度額と考えておけばいいですが、一点注意したいのは、所得税は累進課税で課税されるということです。