あえて楽しくなることをしない。シリコンバレーの最新トレンド「ドーパミン断食」とは? (2/4ページ)
その治療薬である「レポドパ」は、脳内にドーパミンを届けることで症状を緩和する。
・脳内の報酬系に大きく関与
ドーパミンはまた脳内の報酬系にとっても重要で、おいしい食べ物や異性との交遊、楽しい経験、SNSでのやりとり、ギャンブル、あるいは薬といったものによって最初に放出され、報酬系を活性化する。
ポイントとなるのは、報酬系は学習をするということだ。報酬を得られそうなサインを感じると、実際に報酬がなくてもドーパミンが分泌されるようになる。
そのために、有名パティシエのお店を訪れたり、そこにならぶ可愛らしいお菓子の味を想像してみるだけでもドーパミンが分泌されてしまう。
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このような報酬への期待のことを神経科学の言葉で「ウォンティング(wanting)」という。
うつ病の主要な症状に快感消失(楽しさや喜びを感じられなくなること)があるが、これはウォンティングが欠如している状態で、ドーパミン制御の機能不全が関係している。
よって、こうしたうつ症状の治療薬には、脳内のドーパミンを増加させるよう作用するものがある。
・ドーパミン断食で不健康な欲求を緩和させる
このようにドーパミンには大切な役割があるというのに、なぜあえてその断食をしようというのだろうか? それはドーパミンが中毒や依存症と関係していることが背景にある。
たとえば薬物依存症の患者が、もう二度と薬には手を出さないと誓ったとするだろう。