注目を集めるファッションの新市場 障害者向け”アダプティブ クロージング”とは (1/3ページ)

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注目を集めるファッションの新市場 障害者向け”アダプティブ クロージング”とは

 この数年、日本やアメリカのファッション市場で、身体に障害を持つ人々を対象にした衣料品が注目され始めている。

 日本でもアメリカでもファッションメーカーは身体に不自由のない人々が着用することを想定して洋服をデザインしがちだが、手や足、腰など身体の一部に障害を持つ人々には着脱が難しいことがある。障害者の着脱の利便性を考慮した洋服も販売されているが、そのたいがいは高齢者向けにデザインされる。幅広い年代の障害者を対象に、ファッション性を重視した衣料品市場は取り残されていた。しかしその市場に変化が現れ始めた。

 ロイター通信は2018年9月6日付で、同月にニューヨークで開催された『New York Fshion Week(NYFW)』のランウェイで、『Tom Ford』や『Calvin Klein』などがハイファッションのコレクションを披露する中で、ティーンから中高年に人気の高い『NIKE』や『TOMMY HILFIGER』が義足や義手、車椅子などを必要とする幅広い年代の人々向けのコレクションを発表したと報じた。発表された洋服は、身体が不自由でも比較的容易に着脱ができるようデザイン。適応度が高く、『NYFW』の記事を報じたメディアは一斉にそれらを「Adaptive Clothing」(異なる状況に適応する衣料品)と称した。

 ロイターによると、『NYFW』のショーで「アダプティブクロージング」を着てランウェイに登場したのは、身体に障害を持ち、日常生活で車椅子、義手、あるいは義足を必要とする30人のモデルたちだったという。ナイキのコレクションに登場したハナ・ギャビオスは、2016年に崖からの転落事故で片脚をなくした。義足でショーに臨んだ彼女はロイターのインタビューに「私は義足を人目から隠すのではなくクールに見せたいわ。義足は私の個性の一部で、私が私である証明なの」と応じた。ギャビオスのように、障害という個性を「カッコよく見せたい」という意識が障害者の間で広まっていることも、この市場がビジネスとして認識され始めた背景にあるのだろう。

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