科学と宗教は水と油?偉大な科学者は有神論者?科学と宗教の距離感 (3/5ページ)

心に残る家族葬

現代でもS・ホーキング(1942〜2018)やR・ドーキンスらが無神論者を標榜する一方で、ヒトゲノム研究の第一人者F・コリンズ(アメリカ国立衛生研究所所長)のように神の存在を信じていると公言したり、クリスチャンでもある科学者も少なくない(注)。科学がどれだけ発達しても人間は必ず死ぬ。その先に踏み込めるのは宗教のみである。その時、科学と宗教のつかず離れずの関係が強みとなる。


ドーキンスとコリンズは「TIME」誌で対談しており、ドーキンスは人間が作った「神」を否定する一方で「偉大な何か」が宇宙の背後に存在することを認めている。
God vs.Science」(Time 2006/11/5)

■政教分離が原則ではありながらも、西洋の政治家は聖書を持って宣誓する

政教分離の建前があるにも関わらず、大統領が聖書を手に宣誓する西洋社会は、科学と宗教の二刀流なのだ。この二刀流がチャプレンやホスピスの普及の基盤になっている。実際の現場ではチャプレンは必ずしも宗教の話や祈りなどをするわけでなく、患者が望む話に合わせ寄り添うことが中心になっている。しかしその活動の精神がキリスト教の「アガペー」(神の無限の愛)であることは確かである。

■一方、科学と宗教が分離している日本

西洋文明は徹底的に世界・宇宙の謎を理詰めで追究しようとした。そこには「神の書物」を読み解く、読み解けるという信念があり、この精神が近代科学を生みだしたのである。東洋にもこういう発想がないわけでないが弱い。インド哲学には「因明」、中国思想にも「名家」などアリストテレスにも匹敵するとされる精妙な論理学が存在したが、いずれも主流にはならなかった。日本人はさらにそうした思考が弱く、天地自然に神や仏が宿っているとする汎神論的世界観などが根づいた。理屈で考えず花鳥風月に心を寄せれてそこに「いのち」を感じることができるといった心性である。

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