科学と宗教は水と油?偉大な科学者は有神論者?科学と宗教の距離感 (1/5ページ)

心に残る家族葬

科学と宗教は水と油?偉大な科学者は有神論者?科学と宗教の距離感

欧米諸国には「チャプレン」という聖職者がいる。一般的には病院内でキリスト教の教えに基づき、死に直面した患者などに寄り添う人たちを指す。現在その活動は拡大し、軍隊や刑務所などの施設に属しているチャプレンも多い。日本でも僧侶が末期患者に寄り添うための「ビハーラ」活動が仏教諸宗派によって展開されているが、欧米に比べて根づくことなく停滞しているのが実情だ。その要因のひとつとして、日本における科学と宗教の分離があると思われる。

■医療(科学)の領域(限界)とは死ぬその瞬間まで

医療がどれだけ発達しても死というゴールがある限り、延命の技術の発達であるに過ぎない。遠い未来、テロメア研究などの果てに不老不死が実現するのかもしれないが、宇宙そのものに終わりがある以上、結局は同じことである。

医療の領域は死ぬその瞬間までであり、次の瞬間から無効となる。そこから、その後があるとするなら、そこでは魂や死後の世界を説く宗教の世界が必要となるわけだが、宗教的世界観は現代社会を支配する科学的世界観と相容れない。科学的世界観とはつまりは西洋(欧米)の価値観に他ならない。いわゆる「科学」とは西洋社会で誕生したものだからだ。明治以降日本にも近代科学に基づく世界観が輸入されると、宗教的世界観は迷信として追いやられることになる。少年期の福沢諭吉の逸話(社の御神体を暴きただの板だったと述懐)などはわかりやすい例である。

■「死後」について沈黙する科学

「死」のその後について沈黙する科学的世界観は、死に直面する者の前では無意味である。若く健康である時分に「神様なんていない」と理性的な態度を取っていても、死を前に態度を変えない者は少ないだろう。宗教学者で無神論者の岸本英夫(1903〜64)はがんに伏した時、死後生の信念を持たないことは「素手で死の前に立っているようなもの」と述べている。

では科学的無神論の本家たる西洋社会では科学的世界観による無宗教・唯物論がさらに徹底しているのかというと、必ずしもそうとは言えない。

■科学と宗教の関係に変化が起こった科学革命

近代科学はキリスト教の影響下で生まれ、キリスト教と近代科学は表裏一体ともいうべき関係にある。

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