宗教とコロナ前編 創価学会(前編) (1/4ページ)

週刊実話

「これこそ現世利益というものですよ」

 知己の創価学会地域幹部は、喜びを隠せない様子でそう力説するのである。

 新型コロナ対策で国民1人あたり10万円給付案が4月15日、山口那津男公明党代表による安倍首相への“官邸直談判”の結果、強引に決定された。知り合いの創価学会員たちに言わせれば、「学会の力で公明党を突き上げ、政権を動かした成果」なのである。そこまで「一律10万円」にこだわる理由を述べる前に、ここに至る経緯を振り返る。

 10万円支給案がトップ会談で合意したそのわずか8日前、「収入減世帯への30万円給付」が閣議決定されている。閣議には公明党閣僚も出席しており、当然ながら異議は唱えなかった。

 ところが、わずか1週間で公明党は猛烈な異議を申し立て、どこまでも政権についていく“下駄の雪”から、連立離脱カードまでチラつかせるまでに豹変したのだ。

 別の創価学会地域幹部が解説する。
「公明党や山口代表は何をやっているんだ。30万円案なんか、国民は支持してないのに、対案を出してるのは野党ばかりじゃないか――というような声が、あちこちから寄せられた。安保法案の時と、まったく違う感じの抗議や意見でしたよ。特に公営団地などに住む高齢者会員や、彼らを指導する立場の壮年部の異議申し立てが多かったんです」

 1度閣議決定した補正予算案(約4兆円)を、強引にひっくり返したのだ。

 数字的に予算を見るなら、30万円案の4兆円に対して、10万円一律だと3倍の12兆円の規模だ。今後いったい、それを誰がどうやって支払うのか? 充てられる国債に買い手がつけばいい。しかし、その償還のため増税や臨時の税、消費税率の引き上げを、近い将来、国民は甘受しなければならない。

 そもそも、収入の減っていない国民は、年金生活者などゴマンと存在するのだ。彼らにも給付せよ――というのは、確かに創価学会の理屈から考えれば「合理的」なのかもしれない。

 もちろん、「現世利益」では、そんな先々のことは考えない。だから不満は「党を動かせない学会組織」に向かい、それが「一律10万円給付案」で公明党突き上げとなったわけだ。実は、現在の創価学会もまた身動きのとれない苦境にある。

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