医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<微笑みうつ病>「ひそかに増えている周囲も気づかない心の闇」

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医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<微笑みうつ病>「ひそかに増えている周囲も気づかない心の闇」

 コロナうつや5月病の増加が喧伝される中、一見、楽しそうでも実態はうつ状態の人もいる。それが「微笑みうつ病」だ。近年注目度が上がっている病気で、医学的には「非定型うつ病」に近いとされている。

 一般的な「うつ病」は、好きなことに対する興味を失ったり、食欲不振などといった、何らかの変化が見た目にもわかる場合が多い。それに対して「微笑みうつ病」は見分けが難しく、周囲が気づきにくい。仕事も順調で、職場や家族・友人にも笑顔で接し、コミュニケーションもスムーズにとれているものの、本人がうつ症状を自覚していないからやっかいだ。そのため「落ち込む理由などない」と沈んだ気持ちを恥ずかしく考え、無理をして笑顔でふるまってしまうのだ。

 これこそ大きな問題で、仕事で評価された時や、楽しいことがあった時は、一瞬元気になるのだが、その直後にひどく落ち込み、ひどい場合は自殺願望に苦しむ人もいるという。

 米国ペンシルベニア州の臨床心理士ハイジ・マッケンジー博士によると、病気のサインとして「仕事がとても大変に感じる」「仕事はなんとかこなせるが、集中力が保てない」「家に帰るといつもクタクタで、夕食もとらず、着替えもせずに寝てしまう」「落ち込むことに対して罪悪感があり、何もする気が起きない自分を責めて、ネガティブな感情になる」などの症状が当てはまる人は特に注意すべきだ。

 解決策として、自身の心の問題に蓋をしないことが大切だ。落ち込みを感じるのは決して恥ずかしいことではないのだと考え、家族や友人など、周囲に助けを求めよう。また、自宅で軽い運動をしたり、ネット動画などを見ながらヨガやストレッチなどを行うのもお勧めだ。バランスのいい食事も心がけたい。それでも改善しない場合には、心療内科に相談してみるのもいいだろう。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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