医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<耳の痛み>「姿勢の悪さが原因の『後頭神経痛』とは?」

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医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<耳の痛み>「姿勢の悪さが原因の『後頭神経痛』とは?」

 コロナ禍以降「マスクをしているから、耳の後ろの辺りが急にズキズキする」と訴える人が増えている。だが、原因はマスクでないかも、というのをご存じだろうか。

 まず確認すべきは、耳の裏が腫れていたり、熱を持っていたりしないかどうか。もし熱や腫れがある時は、耳掃除などの際に耳の中を傷つけてしまい、その傷から細菌に感染して「外耳道炎」を起こしている可能性がある。その際は、まず耳を冷やしてみること。1日冷やしても痛みが続く場合は、耳鼻咽喉科を受診することが必要だ。

 耳の後ろにしこりがある場合は、リンパ節がウイルスなどによって炎症を起こした「リンパ節炎」かもしれない。痛みはないが、徐々にしこりが大きくなっていく場合は「粉瘤」、脂肪のかたまりの「脂肪腫」の可能性もある。

 しこりがいつまでも消えない、大きくなっている、痛みを伴うなどの症状があれば、必ず耳鼻咽喉科を受診すること。症状によっては皮膚科や形成外科の受診を勧められる場合もある。

 他にも、ストレスや天候によって、耳の後ろがズキズキしたり、頭痛が生じることも。この場合は鎮痛剤を飲むのをお勧めするが、改善しない場合は耳鼻咽喉科か内科を受診してほしい。

 ここで気をつけてほしいのは、耳の後ろ部分の痛みから、後頭部や頭頂部など、痛みが移動する場合。これは「後頭神経痛」の可能性がある。首と後頭部の骨の境目の部分を指で押してみて、大きな痛みがあればこの病気の可能性が高い。

 主な原因は姿勢の悪さ。特にパソコンを使用するデスクワークの人などに多く見られ、一般的な鎮痛剤は効きにくい。顔の感覚を脳に伝える三叉神経と関係しているため、抗てんかん薬のカルバマゼピンなどが処方される。予防のためにも、仕事の合間にストレッチや軽い運動を取り入れることが大切だ。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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