美保純も32年ぶり出演の話題作/追悼・ジョージ秋山「実写化艶作品」の世界(終) (1/2ページ)
ジョージ秋山氏の最後の実写作品となったのが、96年から「ビッグゴールド」誌で連載された「捨てがたき人々」(14年、アークエンタテインメント)だ。監督を務めた榊英雄氏が振り返る。
「息子さんの秋山命さんと何か一緒に、という話になり、そこで『捨てがたき人々』を推薦されたんです。まずタイトルに引かれたし、中身を読んで、これは大森南朋にやってもらいたいと思いました」
脚本・プロデューサーを務めた命氏は、父とのやり取りをこう語った。
「最初、僕の脚本に対しての父の感想は『ちょっと違うんだよな』と。それに対して僕は、父との目線の違いを説明したんです。父が描く男女関係というのは、どこか突き放して俯瞰した“神の目線”。でも僕には生々しい男女関係をそうは見られないので、ジャーナリストの目線で描いたんだと説明すると、父は『それならわかった』と言ってくれました」
主人公・狸穴勇介(大森)は生きることに飽き飽きしながらも、女性に対する病的な執着心のある男。故郷に戻った勇介は、顔にあざがある女・岡部京子(三輪ひとみ)と出会う。熱心な新興宗教の信者である京子は勇介に愛を説くが、それに対して勇介は暴力的な性で応えていく─。
秋山作品に通底する「しょせん男と女はアレしかない」という性的欲望の部分を、この作品はさらに色濃く反映させている。
榊監督によれば、「グズでどうしようもなく」性的欲望だけが異常に強いという主人公を、「大森は脚本の1ページを読んだだけで快諾してくれました」といい、三輪ひとみは、ハードなベッドシーンの連続に「苦闘しながらも、勇気を持って役を受け入れてくれました」という。
例えば、港で会った京子を堤防の陰に引きずり込むと、強引に唇を奪い顔面を吸うように舐める。激しく抵抗する京子に「これ、(優しくしてくれた)アンタの責任」と言い放つ勇介は、スカートをずり下ろし、バックから強引に行為に及ぶ。
「アア、やめてぇ!」
京子が激しく抵抗するのもかまわず、果てる勇介。まさに野獣のような交接シーンが次々と展開する。
細身ながらも推定Fカップの、三輪の巨大なバストは必見だが、さらに美保純が京子の叔母役で32年ぶりに秋山作品に参加したことも大きな話題となった。