歴代総理の胆力「安倍晋三(第2次)」(1)再登板後は第1次政権の手法をかなぐり捨てた (1/2ページ)

アサ芸プラス

歴代総理の胆力「安倍晋三(第2次)」(1)再登板後は第1次政権の手法をかなぐり捨てた

 第1次政権を体調不良と選挙の敗北責任で投げ出した安倍晋三は、それから5年余後、総理大臣として「再登板」を果たした。「再登板」は吉田茂元総理のそれ以来、60年以上なかったものである。

 その第2次政権発足以降の安倍は、第1次政権の手法をかなぐり捨てたように、いささか強引、直進的な政権運営に転じた。

 まず、その政権運営を支える閣僚、党役員の人事に、自ら気心の通じた「側近」を重用した。「“お友達”人事」との批判を尻目にであった。これにより、「トップダウン」の政治手法が可能となったのだった。

 そのうえで、政策的には自らは外交・安全保障に主軸を置き、内政は自らの意向を汲む基本的には長く「女房役」を務めることになる「側近」の菅義偉官房長官など、各閣僚に任せる形を取った。また、“前総理”だった気脈を通じる麻生太郎を副総理兼財務相とし、麻生、菅を両輪とした徹底した「官邸主導」政治に邁進したものだった。

 外交は、とりわけオバマ政権のあとのトランプ大統領に接近、「日米同盟」の色合いをより強めた。沖縄・米軍普天間飛行場の「辺野古」移転、日米の貿易不均衡是正要求にも前向きに対応。一方で貿易自由化を推進するためのTPP(環太平洋経済連携協定)交渉からの米国離脱は、見守るしか術がなかったものであった。トランプ大統領の意向に振り回され続ける印象が強かった外交ということである。

 一方で、ロシアとの北方領土返還交渉、第2次政権発足直後には「必ず安倍内閣で拉致問題は解決する」(2012年12月)と力説した北朝鮮との拉致問題交渉とも、具体的成果は出せないままであった。また中国、韓国両国ともそれぞれ難題を抱えていることで、現在でも両国との外交問題は行き詰まり感が深い。つまり、安倍が主軸として狙った外交の成果は、極めて限定的なものに止まったと言えた。

 それでは内政はというと、財政政策、金融政策、成長戦略の“3本の矢”、なかでも異次元の金融政策を取り続けた「アベノミクス」で、綱渡りながら雇用面での成果だけは上げた。しかし、舵取りが至難のワザとされる異次元の金融政策の「出口」政策が、まったく見えてこない不安を残したままとなっている。

「歴代総理の胆力「安倍晋三(第2次)」(1)再登板後は第1次政権の手法をかなぐり捨てた」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2020年 9/3号内閣総理大臣小林吉弥安倍晋三アベノミクス社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る