贈与税の課税のタイミングは引渡時期とは異なる?課税時期と評価の関係は? (1/2ページ)
贈与を受けた場合に課税される贈与税については、贈与を受けた年分の贈与税として申告する必要があります。ここで問題になるのは、贈与を受けた日、専門的には贈与税の課税時期です。この課税時期について、通達は以下のように定めています。
■贈与税の課税のタイミング
(1) 口頭による贈与の場合 贈与の履行があった時
(2) 書面による贈与の場合 贈与契約の効力が発生した時
(3) 停止条件付贈与の場合 その条件が成就した時
(4) 農地等の贈与の場合 農地法の規定による許可又は届出の効力が生じた時
■引渡し時期とは異なる
ご覧いただきますと分かります通り、基本的には贈与契約の効力が発生した時が贈与税の課税時期となります。もちろん、書面(契約書)を作っていなければ、契約の効力発生日が分かりませんので、実際にものを引き渡す贈与の履行時が贈与税の課税時期となります。
このような違いが生じるのは、民法上、贈与を「書面による贈与」と「書面によらない贈与」に区分された上、異なる取扱いとされているからです。具体的には、前者は書面が存在する以上、その贈与を撤回することができないこととされています。一方で、後者の「書面によらない贈与」は、原則的にいつでも撤回することができるものの、履行が終わった部分については撤回できないとされています。
撤回できない書面による贈与であれば、契約発生日に贈与が確定しますし、履行が終わった部分が撤回できない書面によらない贈与であれば、履行した部分について贈与が確定することになります。このため、このような取扱いとなっています。
なお、実務上は贈与契約書を作ることが多いと思いますので、その契約日付が原則として課税時期とされます。
■課税時期と評価
ところで、課税時期は贈与税の課税のタイミングだけでなく、贈与を受けた財産の評価についても重要になります。贈与税の計算上必要になる財産の評価は、原則として課税時期の現況で行うこととされています。