切ない…「子育て幽霊」墓の中で生まれた赤子のため、夜な夜な飴を買いに来る母の愛 (1/6ページ)
現代では残念なことに、赤ん坊や幼な子の育児放棄・虐待のニュースが、珍しくなくなってしまいました。
でも時代を遡ってみるとどうでしょう。自分が死んでから墓の中で生まれた赤ん坊に与えるため、幽霊になって、夜な夜な飴を買い求めに店に訪れる女性の幽霊がいた……
という、怪談でありながらも切ない伝承が日本各地に存在しているのです。
落語の題材や仏教の説話にもなった「子育て幽霊」の話をご紹介しましょう。
子育幽霊・飴買い幽霊のお話「子育て幽霊」「飴買い幽霊」の話は、ストーリーや結末に多少の違いはあれども、日本全国に伝承があるお話です。
その中から、代表的な話をご紹介しましょう。
真夜中に飴屋の戸を叩き「アメを売って…」今は昔。
ある夜中のこと、店じまいをした「飴屋」の雨戸を、ホトホトと叩く音が。
誰か来たのかと、主人が扉を開けてみると、そこには真っ青な顔をし、ボサボサの長い黒髪の女性が立っていました。
「アメを売ってくださいな」……と、小さな声で囁きながら、一文銭を差し出す女性。
女性の様子を怪しみながらも、主人は飴を売り「どこから来たんだい」と尋ねましたが、女性は何も答えずに夜の闇の中へと消えていきました。