欅坂46のアニラは「祝うこと」を最優先にせず、いまグループが持つ最大限の力を発揮する場に【周年ライブの魅力再確認】

日刊大衆

平手友梨奈
平手友梨奈

 アイドルグループにおいて結成日やデビュー日は大切なもの。定期的に周年ライブを開催するグループ、開催しないグループがあるが、今回はあえてその両者に触れていきながら、それぞれの周年ライブのよさを再確認したいと思う。

 欅坂46のアニバーサリーライブ(周年ライブ)は過去に3回開催されている。1周年は代々木第一体育館、2周年は武蔵野の森スポーツプラザ、そして3周年は大阪フェスティバルホールと日本武道館の2カ所で行なわれた(4年目はコロナにつき中止)。一般的に周年ライブは記念すべきイベントであり、普通はお祝いムードで行なわれるもの。しかし、欅坂46の場合は少し違う。例えば、第1回の代々木は持ち曲すべてをデビューからの歴史を辿るようにして順番に披露したが、その中で当時すでに絶対的センターとして注目されていた平手友梨奈のことをほかのメンバーはどう思っているのかというインタビュー映像が曲の合間に流された。つまり、グループ内に生まれた実力差をはっきりと見せて「この現状をどう変えていくのか?」とメンバーや私たちに問いかけるようなライブでもあった。だからこそ、ヘトヘトになりながらも全員で踊り切った本編ラストの『不協和音』が強烈に印象に残ったのだ。平手センターの『不協和音』はやはりいつ見ても圧巻で、この年に目撃したどの『不協和音』もすべて脳裏に焼き付いている。ただ毎回悩まされたのも事実。このままではほかのメンバーが埋もれてしまうし、ひとりが背負う負担も大きい。この現状をどう変えていくべきか……。そしてこのテーマは2年目へと引き継がれていく――。

 平手の不在で迎えた2周年ライブ。センターポジションはほかのメンバーたちでカバーしていった。すると、それまでくすぶっていたメンバーたちが次々に魅力を開花させていくのだ。『風に吹かれても』、『サイレントマジョリティー』、『世界には愛しかない』、『二人セゾン』など、欅坂46の人気曲が代理センターによって新しく生まれ変わっていった。なかでもキャプテンの菅井友香がセンターに立った『不協和音』に感じたのは、グループのために自分も変わらねばという強固な意志。1年間の成長に思わず震えた。またこの公演は『ガラスを割れ!』を最初に披露し、最終日の最後も『ガラスを割れ!』で締めた。この曲は、グループにとってまさに“ガラスを割る”=殻を破ることだったこの公演を象徴していたように思う。

 第3回は大阪と東京でくっきりとテーマが分かれた。大阪は周年ライブらしく祝祭的な楽しい公演。メンバーたちの笑顔が印象的で、小さな会場を選んだことでファンとの距離が近いイベントとなっていた。対して、東京はこれまで欅坂46が築き上げてきた独自の世界観を追求した公演。縦型スクリーンに映した荘厳なステンドグラスの美しい映像や、劇団かかし座の協力によって実現した影絵のパフォーマンスなど、ほかのグループにはない唯一無二の演出と渾身のダンスで観客を魅了していた。そして、MVの世界を再現したような最後の『黒い羊』は、もはや社会派演劇のラストシーンを観ているかのようで、チーム欅坂の真髄を堪能できた瞬間だった。

(EX大衆2021年3月号「周年ライブの魅力再確認」欅坂46)文●荻原梓

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