現代とはかなり違う!?昔の人は何を「うつくしい」と感じたのか、古典文学から探る (3/3ページ)
いつまでも変わらぬ愛おしい気持ち
そんな「うつくしい」とは「愛久(うつ・く)しい」とも当て字されるように、「いつまでも(久しく)愛おしい」様子を表した言葉と考えられています。
確かに、無邪気な子供の愛くるしい様子はずっと見ていても飽きませんし、娘たちが「また逢いたい」なんて言ってくれたら、そりゃあもう万里の道も苦にならないのは道理というもの。
この愛しい存在が、ずっとこのままでいてくれたらいいのに。この優しい気持ちが、いつまでも続いたらいいのに……そんなかけがえのない思いを、昔の人は「うつくしい」と表現。
英語で言うならaffection(愛情、慈しみ)であり、その純粋さに美が見いだされ、beautifulのニュアンスに変わっていったものと考えられます。
ずっと変わらない愛おしさ。絶えず移り変わる世の中だからこそ、変わらぬ愛情の尊さを「美しい」と感じるようになったのでしょうか。
※参考文献:
林望『源氏物語の楽しみ方』祥伝社新書、2020年12月
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