駅弁マニア金谷俊一郎「おいしい駅弁を見分けるポイントは“つけ合わせ”にあるんです」麻美ゆまのあなたに会いたい!(後編)

日刊大衆

金谷俊一郎と麻美ゆま
金谷俊一郎と麻美ゆま

 前回に続いて、歴史コメンテーターとしても有名な東進ハイスクール・日本史講師の金谷俊一郎先生との対談です。実は大の“駅弁マニア”でもある金谷先生。日本の史跡を巡る旅の中で、2000種類以上の駅弁を食べてきた先生は『駅弁と歴史を楽しむ旅 ベスト100食、美味しい史跡めぐり』(PHP新書)という本も出されています。前回は“男飯”的な要素がたっぷり詰まった駅弁中心だったので、今回は北から南までオススメの駅弁を教えてもらいましょう!

ゆま「まず、北海道から教えてください!」

金谷「北海道はバラエティ豊かな駅弁が多いです。その一つが、室蘭市の母ぼ恋こい駅。ここは無人駅なんですが、近くの喫茶店で販売されている駅弁『母恋めし』がオススメです。ホッキ貝とヤヤン昆布のだしで炊き込まれた、おにぎりがとてもおいしいです。燻製の味つき卵もおいしいので、ぜひ食べてほしい一品です」

ゆま「見た目もかわいいし、ヘルシー。女子ウケも良さそうですね」

金谷「あと、定番ですが、厚あっけし岸駅の名物駅弁『氏家かきめし』。プリプリの大きいカキがぎっしり詰まっていて、ふたを開けたとたん、磯の香りが漂ってくるんですよね」

ゆま「くぅ~! 食べたいけど、厚岸は遠い~」

金谷「東京駅でも売っていますよ(笑)」

ゆま「帰りに買いに行きます(笑)」

金谷「東北地方では、秋田県の大お お館だ て駅にある『鶏めし』が私は好きですね。何がいいって、ここの鶏肉は“老鶏”を使っているんです」

ゆま「年を取っている鶏ですか?」

金谷「はい。若鶏のようなプリプリ感はない分、シナッとした落ち着いた味わいがあります」

ゆま「熟れ頃の味ですね!それにつけ合わせもキレイ。お花みたい」

金谷「いいところに目をつけましたね。おいしい駅弁は、つけ合わせにもこだわっているんです。味はもちろん、見た目まできっちりと気を配っているんです」

ゆま「なるほどー。おいしい駅弁を見分けるポイントにもなるんですね」

金谷「そうなんです。次は関東ですが……」

ゆま「関東といえば、私の地元である群馬県の高崎駅の駅弁を!」

金谷「高崎は、名物の『だるま弁当』に、『上州の朝がゆ』など、全国的にも知名度の高い駅弁がそろっていますよね」

ゆま「そうなんです。それもあって、私は昔から駅弁が好き。どうして、高崎駅は、あんなにおいしい駅弁が多いんですか?」

金谷「高崎駅や栃木県の宇都宮駅が、昔から電車の乗り換え駅だったからです。ちなみに駅弁発祥の地も、宇都宮駅。明治15年からあったと言われています」

ゆま「そんな歴史が! そういえば東武日光駅(栃木県)に『日光埋蔵金弁当』という、15万円ぐらいする駅弁があると聞いたんですが……」

■関西オススメ駅弁は高級だったあの食材

金谷「ありましたね。高級食材ばかり詰め込まれていて、何より容器がすごい。日光彫りの容器だけで、10万円以上の価値があるそうです」

ゆま「いったい、どういう人が買うんだろう?」

金谷「これも歴史の話になりますが、明治時代、庶民が電車に乗る機会って“冠婚葬祭”だったんです。特に嫁入りのときが多く……。要は“晴れの日”に、こういう高級なお弁当も販売されたんです」

ゆま「へえー。勉強になります! そっかぁ、昔は通勤や通学で電車を使うこともなかったんですね」

金谷「駅弁の歴史を語り出すと日が暮れてしまうので、次に行きます。北陸地方もおいしい駅弁が多いですよ。一つは金沢駅で、料亭の『大友楼』さんが出している駅弁。『利家御前』や『百万石弁当』などいろいろありますが、さすが老舗の料亭が作っているだけあって、どれも素晴らしい味です。富山駅も名物駅弁が多く、『ますのすし』をはじめ、冬季限定ですが『ぶりかまめし』も絶品です」

ゆま「前回の新潟県の駅弁といい、日本海側の駅弁はおいしそうなものばかり」

金谷「関西地方では、米原駅(滋賀県)の『井筒屋のおかかごはん』がオススメです。その名の通り、白米におかかがびっしり敷き詰められていて、味つけも上品なんですよね」

ゆま「おかかって、懐かしい感じがします」

金谷「お母さんが作ってくれた素朴なお弁当、そんなイメージがありますよね。だけど、昔は高級食材だったんですよ。中国地方では、宮島口駅(広島県)の『あなごめし』や、鳥取駅(鳥取県)の『かにめし』、四国地方では宇和島駅(愛媛県)の『鯛めし』などは、郷土料理のおいしさがギュッと詰まっていて絶品です」

ゆま「あ~、もう、おなかが空いてきちゃいました! 最後に九州のオススメ駅弁を教えてください」

金谷「たくさんありますが、私が一番好きなのは折尾駅(福岡県)の『かしわめし』。鶏肉のそぼろ、錦糸玉子、きざみ海苔を敷き詰めた、かしわめしが箱いっぱいに詰め込まれていて、二重三重のおいしさが味わえます。それに、ここは今では珍しい駅弁の立ち売りもしているんですよね」

ゆま「いやあ、今日はありがとうございました! コロナも落ち着きましたし、今すぐにでも駅弁を買って、電車で長旅をしたくなりました」

金谷「ぜひぜひ! お取り寄せできるものや東京駅で買えるものも増えたので、読者の皆さんも、ぜひ食べてみてください」(おわり)

かなや・しゅんいちろう 1967年11月20日、京都府生まれ。歴史コメンテーター。東進ハイスクール・東進衛星予備校日本史講師。駅弁マニアとしても活動。
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