なんと日本海軍はブドウから兵器を作っていた!?戦時中のワイン造りとロッシェル塩【前編】 (2/3ページ)

Japaaan

圧電効果と呼ばれる現象を利用して電気信号と音波を相互に変換することができるのですが、この性質を利用して、水中聴音機やレーダーなどの探査技術に用いられたのです。

ドイツから学んだロッシェル塩生産

第二次世界大戦では、ドイツがいち早くロッシェル塩を採用して音波防御レーダーを開発しました。潜水艦や魚雷に対処する艦船用の兵器として効果を発揮していたのです。

一方の日本海軍ですが、昭和17年(1942)6月、中部太平洋のミッドウェー海戦で航空母艦四隻を失う大打撃を受けます。

この敗退直後に、海軍は同盟国のドイツに兵員を派遣します。そしてロッシェル塩を利用した探査技術を習得させ、二本の艦艇の戦備を強化することにしました。

しかし日本ではロッシェル塩の製造が困難でした。原料となる酒石酸はワイン造りの副産物ですが、当時の日本ではワイン造りそのものが規制されていたからです。

そこで海軍は、全国のワイン醸造場に粗酒石の採取を働きかけました。そして上述のサドヤ醸造場に集めてロッシェル塩を精製します。

さらに東芝などの大電機メーカーに依頼して、この精製品を使って対潜水艦用の水中聴音機を量産するよう依頼しました。

水中聴音機は、まさに「ブドウから作る兵器」だったのです。

統制品の規制緩和も

一方、酒類行政を取り扱っていた大蔵省では、昭和19年(1944年)のある時期から、日本海軍の求めに応じて酒石酸の増産を決定します。

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