ハチドリみたいにかわいいだろ、でもこれ蛾なんだぜ。収斂進化って面白い! (1/3ページ)
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上の画像をよく見て欲しい。小さな体で羽をパタパタさせながら空中でホバリングして花の蜜を吸っている。「知ってる、それハチドリ!」と思うだろ。でもこれ蛾の仲間なんだ。
スズメガ科に属する「ホウジャク」は、それほどまでにハチドリに似ているのだ。1秒間に85回も羽ばたかせて空中に停止しながら、長い口吻で花の蜜を吸うかわいらしい姿はハチドリそのもの。
だがハチドリが北米や南米などのアメリカ大陸のみに生息しているのに対して、ホウジャクは日本を含む、ヨーロッパ、アフリカ、アジアに生息している。それなのに両者が似ているのは、収斂進化の賜物だ。
・ハチドリそっくりなホウジャクとは?
スズメガ科のホウジャク( Macroglossum stellatarum)の大好物は、筒状の花を咲かせる植物だ。普通なら吸えないような形でも、ストローのように長い口吻を正確に花の真ん中に差し込んで、甘い蜜を吸い取る。
口吻の長さは体とほとんど同じくらいあり、普段はクルクル丸めて収納されている。
自分の身長と同じくらい長いストローをくわえて、小さな的を狙うところを想像してみれば、その技術がどれほど素晴らしいものかわかるだろう。
しかもホウジャクはハチドリと同様にそれを空中でやるのだ。
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photo by iStock・昆虫では珍しい視覚による誘導
そんなことができるのも、ホウジャクの驚くべき視覚のおかげかもしれない。ホウジャクは昆虫としては珍しく、目を頼りにして長い口吻の狙いをつけている。