王蟲が実在するだと?硬い体に多数の目を持つ世にも奇妙な軟体動物「ヒザラガイ」 (1/4ページ)
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背中に8枚の殻が並ぶ軟体動物「ヒザラガイ」は、硬い殻に目玉を埋め込んだ世にも珍しい生き物だ。風の谷のナウシカに登場する王蟲にどことなく似ているが、殻に目が複数あるところまで一緒だったとは驚きだ。
ヒザラガイの殻には小さな穴やレンズが無数に並んでおり、それらが全て目として機能するのだという。光しか感じられない目もあれば、形まで認識できる本物の視覚を持つ目もあり、殻はほぼ目に覆われているのだ。
科学者たちは、この独特な視覚システムがどのようにして進化したのか、その謎をついに解き明かした。ヒザラガイはこれらのユニークな目をかれこれ4度も独自に進化させてきたのだという。
・ヒザラガイの殻にある無数の目
ヒラサガイは岩場やサンゴなど硬いものに付着して生息する、楕円形の扁平な体の背面に一列に並んだ8枚の殻を持つ軟体動物だ。日本はもちろん世界中の海で見られ約900種存在するといわれている。
その多くは草食性で、強力な口器で岩をかじり付着藻類を削り取って食べる。そんなヒザラガイの甲羅のような殻に光を感じる器官があることは、すでに知られていた。
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ヴァージン諸島の岩にしがみつくヒザラガイ / image credit:Douglas Eernisse
だが、この「エステート(aesthete)」という器官はただ光を感じられるだけで、視覚とまでは言えなかったが、じつはきちんと視覚がある目が2種類も存在したのだ。