御嶽山噴火、大規模火砕流発生なら"最悪の事態"だった可能性

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 長野県と岐阜県の県境にある御嶽山の噴火によって、山頂付近で登山者ら31人が心肺停止になっていることが明らかになった。死傷者を出した火山災害では、火砕流で44人の死者・行方不明者を出した長崎県雲仙普賢岳以来の大参事となってしまった。

 警察や自衛隊、消防などの救出部隊は28日朝からヘリコプターなどで捜索を開始したが、雲仙普賢岳の時に活躍した「60式装甲車」(定員4名・兵員6名)の姿を見ることができなかった。この”60式(ロクマル)“は火砕流に耐えられる装甲を持ち、実際に雲仙普賢岳の火砕流災害時でも運用されていたものだ。しかし、その後、小泉政権時に「日本は島国だから装甲車は要らない」といった理由で、全車が引退していることが判明している。

「今回の御嶽山の噴火はすぐ治まったのが不幸中の幸いでした。大規模な火砕流が発生していたら、登山者の被害規模は何倍にも増えていたはず。火砕流に耐えられる装甲車は“60式”以外に存在せず、普賢岳レベルの噴火が起きていたら、おそらく今の救助部隊では対応できなかったでしょう」(ミリタリー誌編集者)

 御嶽山噴火では依然として行方不明者43人で、さらに増える可能性もありそうだ。御嶽山が長野県、岐阜県の両県にまたがるため、「長野県側、岐阜県側の発表が食い違うこともあるので、現場の記者はいつも混乱している」(地方紙記者)など山頂付近の情報が錯綜しているとも伝えられる。“60式”の存在とは関係ないかもしれないが、日本の災害救助体制に、一抹の不安を禁じ得ない。

(取材・文/内村塩次郎)
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