小渕優子経産相「辞任」の背景にある古参秘書の暗躍

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【朝倉秀雄の永田町炎上】

 安倍内閣の“看板娘”小渕優子経済産業相が、政治資金不正使用疑惑の責任をとる形で辞任した。これまでクリーンなイメージで売ってきた小渕氏だが……。

「将来の女性総理候補」の金銭スキャンダル

 単に「元総理のお嬢様」というブランド力だけで何の実績もないのに、先の内閣改造で経産大臣の要職を射止めた小渕優子に、さっそく政治とカネをめぐる疑惑が飛び出した。

 毎年「女性部大会」なる名目で、東京・明治座を借り切って観劇会を催している小渕優子の後援会。集めた会費の総額と実際に明治座に支払った額との間に1300万円以上もの乖離があることから、小渕の政治団体が差額を負担している疑いがあり、これが、公選法が刑罰をもって禁止する「利益供与」にあたるのではないかというものがまず一つ。

 同様に、小渕の政治団体が、お歳暮用なのかどうかは知らないが、群馬県下仁田町の農家から毎年、年末になると60万円近い「下仁田ネギ」を購入していることが政治資金の私的流用や選挙目的での利益供与にあたるのではないかという疑惑。

 さらに同団体は、彼女の実姉が経営するブティックに、贈答用のネクタイなどの購入費や姉が出した自費出版本の買い取り費用として3年間に計362万円もの金を支出していた。他にも、ベビー用品や化粧品などの代金を支出していた形跡もあり、これまた政治資金の私物化ではないかという疑惑である。

 おまけに、今日になり、選挙区内の有権者男性に対して自分の顔写真入りラベルが貼られた「特注品」のワインを送っていた事実も発覚。小渕は17日の衆院経産委員会で、野党からの追求に対し「選挙区に(贈り物をしたこと)はありません」と答弁していた。

 そもそも、国会議員に「法律を守れ」というのは、プロの泥棒に「物を盗むな」と言うのに等しい。政治資金の私的使用に、収支報告書の未記載や辻褄合わせの虚偽記載は当たり前。

 “子分”たる県議や市議たちへの陣中見舞いや小遣いのバラ巻きも、公選法による選挙区内での寄付や利益供与の禁止規定など「クソ食らえ」とばかりに行なわれる。また、地元有力者への盆暮れの挨拶や接待攻勢、夏祭りや花火大会への賛助金の提供など、選挙に勝つためには手段を選ばず、きちんと法律を守っているものなどまずいないのがこの国の政治家たちの現実だ。

周辺にはグレーな秘書たちが幅を利かせる

 小渕優子は「国民の選良」としての責任感がすこぶる希薄で、取り巻きがフォローしないとカネの管理も、事務所の運営も、地元からの陳情の処理も自分では何一つできない。神輿に乗っているだけの「田舎のお姫様」だったのだ。それをよいことに、小渕の周辺では、父の代からの「政治ズレ」した擦れっ枯らしの秘書どもが幅を利かせている。この無頼秘書どもは古い自民党政治家の体質を色濃く残しているから、法が禁止する選挙区内での寄付や利益供与、政治資金の私物化などはいわば日常茶飯事のはずである。

 政界は嫉妬と陰謀が渦巻き、「出る杭は打たれる」世界の典型でもあるから、人が羨む地位に躍り出た途端にこうした事実が暴かれるのも時間の問題だったはずだ。

 おそらく、小渕自身は「何がどうなっているのか、さっぱりわからない」というのが実情であろう。実際、先の経済産業委員会で野党から追及された際の答弁はしどろもどろだった。「わからない」とか「調査する」などと、まったく釈明になっておらず、すべて他人や秘書まかせにしている無責任さを証明している。

朝倉秀雄(あさくらひでお)
ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』(ともに彩図社)など。
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