ダークでハードな退廃的ロボットアニメ『 冥王計画ゼオライマー 』

あにぶ

冥王計画ゼオライマー(C)ちみもりを・AIC
冥王計画ゼオライマー(C)ちみもりを・AIC


出生の秘密、超常的なテクノロジー、巨大な秘密結社……これらの要素は、物語を形作るうえで定番的な設定になっている。
OVA全盛期に制作されたこのアニメ『 冥王計画ゼオライマー 』も、そんな設定がなされた創作物のうちのひとつだ。

■あらすじ

主人公の秋津マサトはいたって普通のティーンエイジャーだ。だが、ある日突然、というサングラスをかけた男と、美久というミステリアスな美少女によって誘拐されてしまう。
時を同じくして、電子産業でトップシェアを誇る会社を隠れ蓑に、ひそかに活動していた秘密結社“鉄甲龍”(ハウドラゴン)が、かねてよりの野望であった世界征服を実行に移し始める。

最初に狙うは日本の秘密組織“ラストガーディアン”の基地……しかしそこには、囚われた秋津マサトの姿もあった。
襲来する鉄甲龍の尖兵“八卦ロボ”。それに対抗するため、美久はマサトにこうささやく。

「ゼオライマーに乗って」

■ハードなドラマとケレン味溢れる演出

あらすじを読んでわかるとおり、この作品はシリアスな物語が展開される。しかも単純な勧善懲悪モノでもない。むしろドラマの充実っぷりは、敵側・鉄甲龍のほうが豊かではないかと思わせるほどだ。

主人公もかなりワケありである。その背中にかせられた重荷は、けして“普通のティーンエイジャー”に背負えるようなものではない。
しかし現実というのは残酷なもので、そんなマサトの葛藤を受け入れる間もなく、彼はゼオライマーに乗って鉄甲龍と戦うこととなる。

……そんな深いバックボーンのある物語が展開されるだけに、全体の作風もダークで退廃的なのだ。OVAの話数にしてたった4話ではあるが、その密度たるや半端ではない

また、この時期OVA畑で活躍していた平野俊弘監督による、ケレン味溢れる演出も見逃せない。
強めのコントラストが作りだす陰影の妙、ロボットの巨大感を煽るカメラワーク、戦闘における一挙手一投足の、壮絶な破壊力を物語る描写の数々……
このような巧みな演出が、物語のハード性をより高みへと盛り上げてくれるのだ。

当時はまだ若手だった声優・関俊彦氏のフレッシュな演技も見所(聞き所?)
退廃的なアニメが見たいと思っている人には是非オススメしたい作品である。

(あにぶ編集部/AKIRA-Men)

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