ダークでハードな退廃的ロボットアニメ『 冥王計画ゼオライマー 』 (1/2ページ)
出生の秘密、超常的なテクノロジー、巨大な秘密結社……これらの要素は、物語を形作るうえで定番的な設定になっている。
OVA全盛期に制作されたこのアニメ『 冥王計画ゼオライマー 』も、そんな設定がなされた創作物のうちのひとつだ。
■あらすじ
主人公の秋津マサトはいたって普通のティーンエイジャーだ。だが、ある日突然、沖というサングラスをかけた男と、美久というミステリアスな美少女によって誘拐されてしまう。
時を同じくして、電子産業でトップシェアを誇る会社を隠れ蓑に、ひそかに活動していた秘密結社“鉄甲龍”(ハウドラゴン)が、かねてよりの野望であった世界征服を実行に移し始める。
最初に狙うは日本の秘密組織“ラストガーディアン”の基地……しかしそこには、囚われた秋津マサトの姿もあった。
襲来する鉄甲龍の尖兵“八卦ロボ”。それに対抗するため、美久はマサトにこうささやく。
「ゼオライマーに乗って」
■ハードなドラマとケレン味溢れる演出
あらすじを読んでわかるとおり、この作品はシリアスな物語が展開される。しかも単純な勧善懲悪モノでもない。むしろドラマの充実っぷりは、敵側・鉄甲龍のほうが豊かではないかと思わせるほどだ。
主人公もかなりワケありである。その背中にかせられた重荷は、けして“普通のティーンエイジャー”に背負えるようなものではない。
しかし現実というのは残酷なもので、そんなマサトの葛藤を受け入れる間もなく、彼はゼオライマーに乗って鉄甲龍と戦うこととなる。
……そんな深いバックボーンのある物語が展開されるだけに、全体の作風もダークで退廃的なのだ。OVAの話数にしてたった4話ではあるが、その密度たるや半端ではない。