安倍政権に吹き荒れる解散風と日中・日韓関係|やまもといちろうコラム

デイリーニュースオンライン

サンゴの密漁船は激減したが……
サンゴの密漁船は激減したが……

 やまもといちろうです。めっきり中国にも足を向けなくなりました。

 先日、微妙な幹事の日中首脳会談がありまして、その様子は雪解けには程遠いものの微妙な距離感を探るような内容で興味深いものがあります。

日中"無表情"会談、あいまい合意の危うさ

 11月10日、発表された首脳会談の内容も、両国担当の懸命な努力はあったかとは思いますがあまり踏み込んだものは盛り込まれませんでした。これはこれで仕方ないかなあと思うわけですが。

日中首脳会談

 ところが、この日中首脳会談を契機として、小笠原沖にやってきていたサンゴ密漁船が激減、これはこれで憶測を呼ぶところであります。

サンゴ密漁:中国漁船一部が撤退か 先週末より減少

「戻れば漁船を破壊」サンゴ密漁に中国当局

 それまで何を言っていたかというと、11月6日には日本からの抗議に対し中国から「重大さを認識して対策に取り組む」という回答があったとされております。何というか、中国における漁船というのは大変メッセージ性が強いものなのかなあと思うわけですね。

サンゴ漁船 中国が対策取り組むと回答

 本件においていうならば、中国が漁船を撤収させたからといって、日中関係が一本調子に改善するなどという夢を持つ人は少数であります。むしろ、中国に親しみを感じない日本人がより増え、中国が日本に対して何かやらかしたときにさらに日本の国民感情が悪い方向に大きく振れる可能性が高いでしょう。中国が外交を有利に運ぼうとしたり、国内の批判を防ぐための演出をするほどに、本格的な改善を模索する動きは停滞することは間違いありません。それは日本の問題ではなく、中国固有の課題であることを、どこかで日本は言わないといけないタイミングなのかもしれません。

 一方、日中首脳会談が実現したことで、日韓関係にも影響を及ぼしております。

朴政権内で「日中接近」への焦り…首脳会談遠く

 てこれだけ密接した隣国でありながら、現状で日本から見非常にどうでもいい相手国になっており、日韓関係というのは優先度が下がっている現実があるように見えます。外交を進展させたときに得られる譲歩が良く分からず、経済的にも必ずしも互恵的とはいえず、むしろコンペティター(競合国)といってもおかしくないぐらい距離のある国です。

 しょうもない話ですが、入管法にひっかかってそうな韓国人歌手が来日拒否された件でも、良く分からないですが竹島の話にまで引火しており興味深い次第です。

竹島で公演した韓国人気歌手、日本への入国拒否

菅官房長官「竹島で歌、入国拒否に関係ない」

 蓋を開けてみれば、どうも過去に大麻の吸引をやらかして上陸拒否事由該当事案になったという話のようですが、さんご密漁船の件といい、この手の話は必ずバックグラウンドに何らかのメッセージが埋め込まれていることもよく考えて外交関連の記事を読むと面白いのではないでしょうか。

 そして、この手の問題も我が国に突然吹き荒れた解散風のお陰で吹き飛んでいくことでありましょう。ところで、この解散ってどういう大義名分があったんでしたっけ。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

(Photo by benet001 via flicker)

「安倍政権に吹き荒れる解散風と日中・日韓関係|やまもといちろうコラム」のページです。デイリーニュースオンラインは、政治安倍政権韓国中国連載などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧