少子化対策こそ日本の最重要課題「若者をもっと評価せよ」 | 田原総一朗コラム

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田原総一朗に「現代の若者」を訊け!
田原総一朗に「現代の若者」を訊け!

今の日本で最も重要なのは少子化対策だ

「社会学者の古市憲寿さんがテレビ番組で『セックスは汚いから嫌い』と発言されていましたが、どう思いますか?」

 先日、ある編集者からこう聞かれたのだが、まったく興味がない。僕が古市さんと対談をしたことがあるので聞いてきたのだろうが、そんなことは古市さんの自由である。

 もちろん性行為は大事であり、子供はたくさん産まれてきてほしいと思っているが、それを誰かに押し付けるつもりはないのだ。

 僕は、少子化対策が今の日本にとって最も重要だと思っている。若い人たちには、もっと子どもを産んで育ててほしい。ただし、こういうことは個別に言うと「セクハラ」ととられるかもしれないし、将来設計が立てにくい現在は子育ても難しいだろう。だが、是非頑張ってほしいものだ。

 日本の少子高齢化は、先進国の中でも深刻だ。安倍首相も短期間で待機児童を減らすことに成功した横浜市の取り組みを視察するなど、政府も少子化対策に乗り出している。少子高齢化に歯止めがかけられるかどうか、これからが期待される。

「今どきの若者」がダメだなんて、誰が言った?

 僕は、「今どきの若者」を評価している。「夢がない」とか「覇気がない」とか言われているようだが、そうは思わない。若い人と話をしていると、とても刺激になる。特に起業など何かに挑戦しようとしている若者の意見を聞くのは楽しくて、大好きだ。

 ただ残念ながら、日本ではベンチャービジネスが育ちにくい。銀行は担保がないとお金を貸してくれないし、実績のない若者に投資する出資ファンドもほとんどない。大企業も若者を育てようとしない。だから、せっかくの斬新な技術やアイデアがあっても、資本がない者は日本では起業しづらいのだ。

 それでも、設備投資などが少なくて済むインターネットの分野では、若者にもチャンスがある。インターネット関連のベンチャービジネスは、年間で1000~1500組が立ち上げられ、そのうち100~150組が成功しているという。なんと新規ベンチャーの1割が成功しているのだ。ベンチャーが活気づいているのは、嬉しいことである。

 また、若くして起業した堀江貴文さんは現在も輝いているが、すでに堀江さんよりも一回り近く年下の若者たちが活躍し始めている。僕はこれまでLINEやスタートトゥデイ、ユーグレナ、リブセンス、ライフネット生命、テラモーターズなど、数えきれない若手実業家と会ったが、いずれも素晴らしい話を聞くことができた。

 最近の若手起業家のイメージというと、「社会を変えたいという理念」を持った「行儀が良くて堅実な優等生」だと思うが、実際に会って話を聞いてみると、発想は斬新だし、情熱的で、むしろ肉食系だ。「今どきの若い者は……」と安易に批判しないで、ぜひ彼らの言葉を聞いてみてほしい。

 ある若手経営者は、「国が何かをしてくれるのを待つのではなく、われわれ民間がアイデアを出して実行し、それを国が真似してくれればいいんですよ」と僕に話してくれたことがある。至言だと思う。政府も大企業も若者たちから大いに学ぶべきだ。

田原総一朗(たはらそういちろう)
1934年滋賀県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、岩波映画を経て、東京12チャンネル(現テレビ東京入社)に入社。撮影中にインタビュアーの求めに応じて性行為に及ぶなど「突撃取材」で名を馳せ、水道橋博士から「日本で初めてのAV男優」と評される。原発報道をめぐって会社と対立、退社後はテレビ朝日系『サンデープロジェクト』(惜しくも終了)、『朝まで生テレビ!』のほかBS朝日『激論!クロスファイア』などで活躍。著書や共著も多く、『日本人と天皇 - 昭和天皇までの二千年を追う』(中央公論社)、『80歳を過ぎても徹夜で議論できるワケ』(角川書店)、堀江貴文氏との対談『もう国家はいらない』(ポプラ社)のほか百田尚樹氏との対談『愛国論』(ベストセラーズ)も14年12月に発売予定。

(撮影/佐倉博之)

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