外国人急増で”ロッポンギ化”する新宿ゴールデン街の現在

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怪しげに光り人々を引きつける新宿ゴールデン街
怪しげに光り人々を引きつける新宿ゴールデン街

 高層ビルが立ち並び、華々しいネオンの歌舞伎町の一丁目に、取り残されたかのようにひっそりと広がる飲み屋街、新宿ゴールデン街。花園神社を抜けたすぐ先にあり、第二次世界大戦後から変わることない木造の店舗が狭い路地の両隣に所狭しとひしめいている。

 このゴールデン街が、外国人に人気のスポットとして賑わっているという。都会的な新宿のイメージとはかけ離れたこの場所のなにが彼らを惹きつけるのだろうか。

ミシュラン・ガイドでも高評価! 外国人を惹きつけるゴールデン街の魅力とは

 実際に新宿ゴールデン街を歩いてみると、その外国人率に驚いた。いかにも観光客風なバックパックを背負った人から、仕事で日本に赴任している様子の外国人サラリーマンまで訪れる人の層は様々だったが、確かに六本木の外国人の多さと見まごうほど。違うのは、そのシチュエーションである。バーや飲食店がマッチ箱のように立ち並び、怪しげな雰囲気を醸し出すこの一角に、外国人はどんな魅力を感じているのだろうか。

 入ったバーで飲んでいた若い男性2人組に話を聞いてみると、意外な事実が判明した。

「ネットで日本の観光地を調べると、ちょっと穴場なスポットとして必ず出てくるのがこのゴールデン街なんだ。事前に写真で見ていたけど、入るのは少し勇気がいったよ。アメリカでは、こんな裏路地は安心して歩けないからね。だけど、入ってみたら、まるでタイムスリップしてきたように感じたよ。個性的なお店がたくさんあるし、すごくクール。料理もとてもおいしいから、渋谷や新宿を歩くより、ここで一晩過ごすほうがよっぽど日本を感じられて楽しいよ」

 インターネット上の口コミでは新宿ゴールデン街の情報が多いというのも驚きだが、あの『ミシュラン・ガイド』を始めとした数々のガイドブックにもその情報が掲載されているというのは初耳だった。

 都会でも古き良き日本を味わえるスポットとして外国人観光客に人気が出つつある新宿ゴールデン街だが、このブームはいつ頃から始まったのだろうか。数年前から新宿ゴールデン街のバーで働く女性スタッフに話を聞いてみた。

「外国人が増えだしたのは2、3年前からです。その頃から、英語のメニューを用意したり、入り口に『外国人歓迎』といった英語のポスターを掲げたりしだす店舗が増えましたね。でも、六本木の騒々しい雰囲気とは全く違いますよ。やってくる人はみんな人と人との繋がりを求めてやってくる感じかな。日本に来たら必ず来店してくれる常連さんもいるし、日本のいい部分を見て、体験してくれていると思います」

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一歩足を踏み入れれば、外国人ばかりが目につく
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多くの店舗には「外国人歓迎」の旨の英語の張り紙が貼られていた

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中には日本人のみチャージ料を取るバーも

 日本人のみならず外国人にも愛される新宿ゴールデン街だが、東京オリンピックの開催のため、区画整備によりなくなってしまう可能性があるという。ゴールデン街は、新宿区役所の向かいという一等地に位置しているため、度々再開発計画が持ち上がっていたのだという。

 現在300軒近い店舗が軒を連ねている新宿ゴールデン街がなくなってしまえば現在の賑いも姿を消すことだろう。これに対し、日本国内のみならず、海外からも反対の声が多く聞かれる。

「こういう場所が東京を面白くしているのに、どうして壊す必要がある?」
「ゴールデン街をなくすことは、新宿の醍醐味をなくすだけでなく、多くの人の思い出を壊すことになるんだ!」
「残念すぎる。あそこで何度か飲んで、すごくいい夜を過ごしたのに」
「小さい店や屋台はすごくクール。ああいうスポットを残すべきだ。たくさんの面白い人や素晴らしいものに出会えるお気に入りの場所だよ」

 様々な人が入り混じりカオスな空間を作り出している新宿ゴールデン街だが、唯一無二だからこそ惹きつけられる外国人が多いのも事実。

 東京オリンピック開催のために新たな施設の建設や再開発が進む日本だが、そのためにこの場所を壊すにはあまりにも惜しいことだ。多くの人が楽しめる飲み屋街がこれからも存続していくことを願う。

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